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MOS界面欠陥の電気的評価手法[Ⅰ]

──MOS界面欠陥の種類とその起源──

Electrical Evaluation Method for MOS Interface Defects[Ⅰ]:Types of MOS Interface Defects and Their Origins

高木信一

高木信一 正員 帝京大学先端総合研究機構

Shinichi TAKAGI, Member (Advanced Comprehensive Research Organization, Teikyo University, Tokyo, 173–0003 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.109 No.1 pp.44–48 2026年1月

© 2026 電子情報通信学会

1. は じ め に

MOSトランジスタは,ITシステムを支える根幹となる半導体集積回路の最も重要な構成デバイスであり,種々の物理的限界により,素子スケーリングは鈍化しつつあるものの,引き続き進化を続けており,将来の情報処理技術を支える基幹デバイスとしての重要性は揺るぎない.このMOSトランジスタの心臓部と言える部分は,MOSという名前の由来となっている金属(Metal)―ゲート酸化膜(Oxide)―半導体(Semiconductor)構造であり,その酸化膜と半導体界面(MOS界面)の電気的性質はトランジスタの特性を決定する.

MOS界面特性がMOSトランジスタの特性に与える重要性は,1950年代のトランジスタ発明以前からよく知られており,Bardeenの表面準位の提唱(1)に代表されるように,MOS界面の欠陥の低減と制御は,MOSトランジスタの性能と信頼性の根幹に係る課題として長く認識されている.MOS界面は,半導体と絶縁膜の異種材料から成る界面であり,本質的に何らかの欠陥の生成が避け難いこと,またゲート絶縁膜は基本的に非晶質であり多くの欠陥を含み得ることから,これらの界面近傍や酸化膜中の欠陥がデバイス特性に与える影響を最低限に抑える工夫が重要となる.

更に,先端ロジック用MOSFETでは,近年,ゲート絶縁膜が,長年用いられてきた熱酸化SiO2とポリSiゲート電極から成るスタック構造から,HfO2などのhigh-k絶縁膜とメタルゲート電極から成る構造に代わるなど,MOS構造を構成する材料も進化を続けており,継続的なスケーリングを実現する上で,新たな材料系での欠陥の制御による良好なMOS界面の実現は,引き続き重要な課題となっている.加えて,先端ロジックCMOSのチャネル材料として,Si以外にSiGe,Ge,Ⅲ-Ⅴ族化合物半導体などが検討され,Ge組成の低いSiGeチャネルのpMOSFETは既に一部で実用化されている.また,電力用トランジスタとしては,SiC MOSFETなども非常に高い関心を集めており,Si以外の半導体MOS界面特性の理解と制御に関する重要性も,ますます高まっている.

図1に,MOS界面や絶縁膜中の欠陥がMOSFETに及ぼす典型的な影響を模式的に示す.これらの欠陥にキャリヤが捕獲されることによって,MOSFETの電流―電圧特性におけるしきい値の変動や電流の低下などが引き起こされる.またしきい値以下のゲート電圧におけるSubthreshold領域では,電流のカットオフ特性が劣化する.これらの特性変動が素子動作中にゆっくりと起こる場合には,素子信頼性上の問題となる.また欠陥準位へのキャリヤの捕獲・放出に伴い,雑音が発生することが知られている.

MOS界面近傍の欠陥がMOSFETに及ぼす典型的な影響

以上のように,MOSFETに大きな影響を与えるMOS界面近傍や絶縁膜中の欠陥を制御し低減する上で,これらの各種欠陥の特性を正しく理解するとともに,その特性や密度などを正確に評価し,欠陥の低減技術を確立することが必要である.この目的のため,1960年代から数多くMOS界面やMOS構造中の欠陥の評価手法が提案され,古典的教科書(2),(3),(4),(5)や比較的最近の専門書(6)にその記述が十分なされている.これらは,現在でも十分通用するが,初学者にはやや理解しにくい内容であり,大学や大学院などで十分に教えられているとは言い難い面があるように見受けられる.


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