

イノベーションの結節点となる
Becoming a Nexus for Innovation
4月を迎え,新たな環境に身を置いてスタートを切られた方も多いのではないでしょうか.本誌が発行される頃には,国が5年単位で策定する科学技術政策として,第7期科学技術・イノベーション基本計画が閣議決定されていることでしょう.国の新たな方針にのっとり,基本計画を実践していく私たち研究者・技術者が,学会というプラットフォームを最大限に活用し,その成果を最大化できるよう,企画戦略室では学会と国との関係性強化を進めています.
毎年秋に開催されるソサイエティ大会では,府省庁の方々をお招きし,国を取り巻く動向や戦略を御講演頂いています.昨年は,府省庁から学会への情報提供にとどまらず,植松会長声明による第7期科学技術・イノベーション基本計画への提言や,パネルセッションでの活発な議論が交わされるなど,双方向の意見交換・交流の場として新たな進化を遂げています.高い専門性を有する会員が集う本学会だからこそ,社会に届けるべきメッセージを明確に発信し,その発信に伴う責任を果たし続けること.その先に「社会から必要とされる学会」への道が拓かれるものと確信しております.
隣接領域の他学会との連携も重視しており,学会同士が手を取り合って横断的なテーマに取り組んだり,共通の課題に対する効果的な施策を導入したりしています.技術が目まぐるしいスピードで発展し,学問領域の境界が曖昧になりつつある現代において,学会の垣根を越えた会員同士のつながりは,これまで以上に重要です.例えば,日本機械学会とは「機械と情報通信の融合で実現する人間中心の未来社会」というテーマで連携してまいりました.AIが実世界を認識・判断して自律的に動く「フィジカルAI」の社会実装が本格化し,2026年がフィジカルAIの元年になるとも言われる今,「電子情報通信」と「機械」の研究者・技術者が一体となって技術を磨き上げ,現場で真に役立つレベルまで高めていくことが求められます.また,電気学会とは会長レベルでの議論も進めております.昨年12月の会合では,本会のジュニア・学生会員による活発な活動報告をきっかけに,一つの学会の枠にとどまらず,より広く若手に門戸を開く施策を両学会で具体化していくこととなりました.
少し話は逸れますが,総合大会で開催されるジュニア&学生ポスターセッションに参加されたことはありますでしょうか.会場は大変な熱気に満ちており,小学生も含めた若き研究者たちが,日頃の研究成果を懸命に発表しています.次代を担う若手の育成も,学会が担うべき大きな役割です.
さて,第7期科学技術・イノベーション基本計画には,「科学と技術,イノベーションを総体として駆動し,経済・社会における価値創出やそこから得られる対価の科学技術の現場への還流の好循環を実現し,更なる国力の向上につなげていくためには,産学官それぞれの主体を結節し,我が国のイノベーション・エコシステムを高度化することが必要である.」と記されています.我が国が目指す新技術立国の実現に向け,会員の皆様が全力で挑戦できるよう,本学会がその「結節点」としての役割を十全に果たし,イノベーションの好循環を生み出す原動力となるべく,尽力してまいります.

