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* 今月号の小特集「完全準同形暗号の研究動向」は,いかがだったでしょうか.暗号化したデータに対し処理を行うためには,復号してから処理を行うしかないと普通は考えます.しかし,この「完全準同形暗号」を使えば,暗号化したままのデータに対して任意の演算を行えるそうです.「完全準同形暗号」は,クラウドコンピューティングのために考案された技術であると想像していましたが,実は1970年代から研究されてきた技術であることを知りました.1970年代といえば,時間借りした大形計算機にデータを送って処理をしてもらうことが普通であり,そのために研究が始まったと言われれば納得できます.ただし,当時の技術とコンピュータの性能では,全く実現できなかったそうです.これと同じように,本会の中でも「基礎・境界」分野の技術には,研究が始まった時点では実現不可能と思われていたものが時代の進歩でやっと実現できた技術が多数あります.もし今,未来のデバイスの研究を始めるなら,現在のスーパコンピュータ以上の性能を期待してもよいかもしれません.
* ところで,今月号の小特集の内容を同じ職場で暗号理論を研究している同僚に紹介すると,日本語で「完全準同形暗号」について書かれた文献があると非常に助かると言われました.これから研究を始める人に読んでもらう文献として大変貴重なのだそうです.最新技術を日本語で分かりやすく会員に伝えることは,会誌の最も大きな役割の一つだと思います.これからも読者の理解を助ける会誌であらねばと再認識させられました.
(編集特別幹事 藤芳明生)
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