記念特集 2-2-7 再生可能集積システム──今後の課題や抱負──

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Vol.100 No.10 (2017/10) 目次へ

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上原 稔 正員 東洋大学総合情報学部総合情報学科

Minoru UEHARA, Member (Faculty of Information Sciences and Arts, Toyo University, Kawagoe-shi, 350-8585 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.100 No.10 p.1057 2017年10月

©電子情報通信学会2017

1.再生可能集積システムの現状と課題

 再生可能集積システムは,再生可能計算を実現する(により実現される)集積システムである.既に基礎の確立している他分野と異なり,再生可能集積システムは目標である.現在,再生可能計算は,持続可能計算と明確に切り分けられていない.あえて違いを強調すれば,再生には破壊のイメージが伴う.一方,持続可能性は破壊を回避する志向がある.本研専では,以下のような課題について検討されている.

 (1) 再生可能エネルギーを用いた計算

 極論すれば,計算機とは,太陽光を熱に変換する過程で,情報を生成する機械である.再生可能エネルギーの利用は持続可能計算でも主なテーマである.本研専では,新たな太陽電池(1)や太陽電池によるシステム(2)などが発表されている.

 (2) 再構成による再生

 再構成可能な機能システムについてはRECONF研究会で活発な研究が進んでいる.このアプローチはチップ単独で可能な最も有効な再生手法であろう.しかし,故障が増えるとやがて限界に達し,全体が停止してしまう.天野らは,交換可能な積層型チップを開発している(3).このチップでは,層間を無線で通信し,比較的容易に層を交換できる.また,これを交換しやすく発展させたブロックを提唱している.また,NoC(Network on Chip)ならばチップ単位の交換も容易になる.

 (3) 代謝による再生

 再生のポイントは部品の交換にある.そこで,より積極的に部品を交換するアプローチが代謝である.上原らは代謝型アーキテクチャを提案し,交換の自動化を研究している(4)

2.再生可能システムへ向けて

 集積システムの自己再生への道のりは遠い.一方,チップだけでなく,その環境を含めたシステム全体に視野を拡大すると現実的な解が見えてくる.システムを社会インフラまで拡大すれば,既に再生システムは動いているとも言える.この巨大なインフラを可能な限り小形化することが現実的な解法となる.本研専では,対象を集積システムに限定せず広く再生可能計算の可能性を追求する.

文     献

(1) 杉浦隆弥,松本 智,中野誠彦,“Si太陽電池のエミッタ最適化による発電効率向上のシミュレーション,”信学研資,RIS, 14, 1, pp.1-6, Dec. 2016.

(2) M. Yamagiwa and M. Uehara, “Study on constructing an energy saving cloud system powered by photovoltaic generation,” WReCS 2012, no.7, pp.844-848, Melbourne, Australia, Sept. 2012.

(3) H. Amano, “Castle of chips: a new chip stacking structure with wireless inductive coupling for large scale 3-D multicore systems,” WReCS 2012, no.3, pp.820-825, Melbourne, Australia, Sept.2012.

(4) M. Uehara, “Metabolic computing: Toward truly renewable systems,” IGI Global, IJDST, vol.3, no.3, pp.27-39, July 2012.

(平成29年3月31日受付)

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(うえ)(はら) (みのる) (正員)

 1993慶大大学院博士課程計算機科学専攻了.同年東洋大講師就任.以来,分散システムの研究に従事.現在,同大学・総合情報・教授.博士(工学).2007年度山下記念研究賞受賞.


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