解説 通信工学と制御工学の融合――Control of NetworksとControl over Networks――

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Vol.100 No.11 (2017/11) 目次へ

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解説

通信工学と制御工学の融合

――Control of NetworksとControl over Networks――

Integration of Communications Engineering and Control Engineering:
Control of Networks and Control over Networks

久保亮吾

久保亮吾 正員 慶應義塾大学理工学部電子工学科

Ryogo KUBO, Member (Faculty of Science and Technology, Keio University, Yokohama-shi, 223-8522 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.100 No.11 pp.1316-1320 2017年11月

©電子情報通信学会2017

abstract

 通信ネットワーク技術の進展により,あらゆる人や‘もの’がインターネットに接続されるIoT(Internet of Things)/IoE(Internet of Everything)時代が到来している.今後,通信アプリケーションはますます多様化し,要求される通信品質も複雑化していく.また,インターネットを介した人や‘もの’の計測及び制御が一般化していく.本稿では,IoT/IoE時代に必要とされるネットワークの制御(Control of Networks)技術とネットワークを介した制御(Control over Networks)技術について事例を交えて紹介し,通信工学と制御工学の融合の重要性について述べる.

キーワード:通信ネットワーク,通信品質,ネットワーク化制御(NCS),‘もの’のインターネット(IoT)

1.は じ め に

 近年,あらゆる分野でIoT(Internet of Things)やM2M(Machine-to-Machine)という言葉がもてはやされている.それらは,文字どおり,人以外の‘もの’同士の通信トラヒックがインターネット上で急増していくことを示唆しているが,その本質となる要素技術は何であろうか.IoT/M2Mという名の下で多くの研究開発がなされており,必要とされる技術を挙げればきりがないが,本稿では,通信工学と制御工学の融合の観点からIoT/M2Mを支える要素技術について考えてみる.

 国内外の様々な地域でスマートコミュニティ化(1),(2)が進む昨今,情報通信,医療・福祉,農業,監視,電力・エネルギー,自動車,ドローン,ロボットなどIoT/M2Mアプリケーションは分野横断的に多様化してきている.一方で,これまでの人中心のインターネットアプリケーションも進化を続けている.我々が直面しているこのような状況は,全ての人や‘もの’がインターネットにつながり,誰もが隔たりなくそれらのサービスを横断的に享受できるIoE(Internet of Everything)時代の幕開けといっても過言ではない.今後,アプリケーションの多様化に伴い,要求される通信品質はますます複雑化していくことが予想される.また,インターネットを介して全ての人や‘もの’の計測及び制御がなされるようになるだろう.

 第1に,複雑化する通信品質要求を満足させるためには,ネットワークの制御(Control of Networks)を適切に行わなければならない.しかしながら,オープンなインターネット環境において,個々のアプリケーションの品質要求に応じたテーラーメイド型の品質保証を実現することは容易でない.適切なネットワーク制御を実現するためには,ネットワークシステムが持つ動特性(ダイナミクス)を理解し,その数理モデルを構築した上で,制御アルゴリズム及びパラメータを設計する必要がある.筆者は,そのツールとして,強固な理論体系を有する制御工学が適しているのではないかと考えている.

 第2に,あらゆる人や‘もの’がインターネットに接続されると,それらを遠隔操作したり,協調的に動作させたりといったアプリケーションが実現できる.これらは,ネットワークを介した制御(Control over Networks)である.制御分野では,このようなシステムはNCS(Networked Control System)と呼ばれている.NCSでは,通信ネットワークに起因する遅延,情報損失,帯域制限などがシステムの不安定化要素となり得る.また,インターネットを介した制御では,ネットワーク要素の不確かさが大きく,即応性を担保したまま制御システムを安定化させることが難しい.適切なネットワーク制御を組み合わせることにより,従来のNCSでは難しかった安定性と即応性の両立が実現できる可能性がある.


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