解説 ステレオカメラによる自動運転の可能性

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Vol.100 No.11 (2017/11) 目次へ

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解説

ステレオカメラによる自動運転の可能性

Consideration of Automatic Driving by Stereovision

実吉敬二

実吉敬二 ITD Lab株式会社

Keiji SANEYOSHI, Nonmember (ITD Lab Corp. Yokohama-shi, 226-8510 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.100 No.11 pp.1309-1315 2017年11月

©電子情報通信学会2017

abstract

 自動運転のセンサは周囲のあらゆる立体物の位置や形状,相対速度が分かり,道路境界も検出できるなど,衝突可能性を判断するための情報を提供する必要がある.更に地図との照合などで自己位置を認識できなければならない.ステレオカメラは画像中のパターンまでの距離を計測するのでモデルなしで立体物が検出でき,その形状も分かるなど要求性能を満足する唯一のセンサである.立体物の検出方法や処理の高速化などを専門以外の方にも分かるように説明した後,模型の車両ではあるが,実際に300m近くをステレオカメラのみで自律走行した結果を示す.

キーワード:自動運転,リアルタイム処理,立体物検出,衝突回避,マップマッチング

1.背     景

 近年,世界の様々な研究機関,大学,企業で自動運転車の開発が盛んに進められている.日本政府も2020年までの自動運転車の走行を見据えた環境整備を明言している(1).きっかけは2010年の自動衝突回避ブレーキの発売,DARPAのGrand ChallengeやUrban Challengeとその開発に携わった研究者を中心としたGoogleやTesla社の自動運転車の開発が挙げられよう.図1に自動運転実験車の例を示す.

fig_1.png

 しかし,現実には技術的な課題が山積している.特に走行する周囲の環境を認識するセンシング技術はまだ最適な技術が定まっておらず,ライダ(Laser Imaging Detection and Ranging)やミリ波レーダ,カメラなど様々なセンサが混在して使われている.これらのセンサは距離精度や最大検出距離,物体依存性,悪天候下での性能低下,更にコストなどでそれぞれに固有の弱点を抱えている.

 この問題をもう少し現実的な視点から捉えてみたい.自動運転のカバーする範囲を限定できれば,これらの弱点が問題になることなく自動運転を実現できる.実際,自動運転はいかなる場合でも人間に運転させないためのシステムではない.時々,自動運転は人間より安全に運転する(2)から全て自動運転にしようという話を耳にすることがある.しかし事故を防ぐためだけであれば,自動衝突回避システムを取り付ければよい.現時点ではまだ不十分であるが,自動運転よりは難しくない技術であり,いずれほとんどの自動車に取り付けられることになろう.

 これに対して自動運転は人間に取って代わる運転であり,事故を起こさないことはもちろん,乗員が安心できて快適な,ベテランドライバーのような運転が要求される.余談であるが,物流関係ではそこまで高度な要求はないので,物流の方が自動運転化に適していると言われることもある.


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