小特集 パターン認識・メディア理解の機能拡張に向けたOpen Idea 編集にあたって

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Vol.101 No.10 (2018/10) 目次へ

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小特集

パターン認識・メディア理解の機能拡張に向けたOpen Idea

小特集編集にあたって

編集チームリーダー 内田誠一

 パターン認識は,人間の認識機能を計算機上で実現することを目指した,長い歴史を持つ研究分野である.画像,音声,行動などを対象として,膨大な研究が実施されてきた.特に昨今,機械学習の進展,及び大規模データとソースコードのオープン化により,認識精度が急激に向上している.課題によっては,ディープニューラルネットワークの利用により,人間と同程度の精度を達成できたことも報告されている.

 こうした華々しい成果は,これまでのパターン認識の枠組みに有利な課題,すなわちデータが潤沢でクラスが定義しやすい課題において得られている.実際,パターン認識の全課題がディープニューラルネットワークでそのまま解決するわけではない.換言すれば,これまでの枠組みに当てはまらない課題については,精度不十分,またそもそも未着手という状況である.

 本小特集は,パターン認識・メディア理解(PRMU)研究会において,当該分野の更なる活性化を狙った企画での議論をまとめたものである.具体的には,重要ながら未着手と思われる研究課題を“Open Idea”(オープンアイデア)として多数列挙し,当該分野並びに関連分野の研究者の今後の研究の参考として提供する.先述のとおり,データやソースコードのオープン化は進んでいる.本企画ではこれらに加え,研究の根幹とも言えるアイデアをもオープンにすることで,どのような問題が未着手であるか,新たな問題意識として何が必要かを明らかにすることを試みる.こうした情報は,他分野の研究者や,これから当該分野に参入しようとする若手研究者にも有益と信じる.

 企画の経緯や目的の詳細については,当該分野の概要とともに,第1章「パターン認識・メディア理解の現状,そしてOpen Ideaへ」において述べている.本企画は元々「グランドチャレンジ」として,分野全体で取り組む課題を選定し,コンペティション形式でデータと評価基準を一般に提供することを目指して開始された.しかし議論を進め,かつ農業や介護などチャレンジ候補の専門家にインタビューを重ねるうちに,そもそもデータをそろえる以前の課題が数多くあることに気付いた.すなわち実世界には,従来のパターン認識の枠組みに当てはまらない,若しくは当てはまりにくい,多くの重要課題が山積していた.これをきっかけとして,新しい視点を開くためのOpen Ideasをまとめるに至った.

 PRMU研究会内に組織されたワーキンググループでは,2016年10月から2018年1月の間に,2回の合宿を含む6回のミーティングでface-to-faceの議論を行った.更に,2回のPRMU研究会での特別セッション,2017年の画像認識・理解シンポジウムでの特別企画も実施し,フロアからも御意見を頂いた.こうした経緯を経て,多数のOpen Ideasが集められた.それらを「基礎的なもの」と「応用志向のもの」にまとめたものが,それぞれ第2章及び第3章である.それらの章は,ワーキンググループのメンバーにより分担執筆されている.しかし,議論は常にグループ全体で行われており,各章各節に書かれている内容も全員の意見を集約したものである.

 最後に,研究活動で日々多忙を極める中,貴重な時間を割いて本企画に真摯に取り組んで下さったワーキンググループのメンバーに深謝したい.また,本企画の特別企画で貴重な御意見を下さった皆様,PRMU研究会の関係諸氏に感謝申し上げる.本企画が,従来のパターン認識・メディア理解研究の常識や分野を超え,斬新な方法論や応用を見いだし,人類の幸福に貢献する技術を生むための一助となることを望んでいる.

小特集編集チーム

 内田 誠一  小野 智弘  伊藤  聡  豊田 雄志 


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