小特集 3-3 精密農業実現に向けたドローンの活用

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ドローンがもたらす新しい世界 3. ドローンの活用事例

小特集 3-3

精密農業実現に向けたドローンの活用

UAV Remote Sensing for the Realization of Precision Agriculture

田中 圭 濱 侃 近藤昭彦

田中 圭 一般財団法人日本地図センター研究開発部

濱 侃 千葉大学大学院理学研究科地球生命圏科学専攻

近藤昭彦 千葉大学環境リモートセンシング研究センター

Kei TANAKA, Nonmember (Research and Development Department, Japan Map Center, Tokyo, 153-8522 Japan), Akira HAMA, Nonmember (Graduate School of Science, Chiba University, Chiba-shi, 263-8522 Japan), and Akihiko KONDOH, Nonmember (Center for Environmental Remote Sensing, Chiba University, Chiba-shi, 263-8522 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.101 No.12 pp.1181-1185 2018年12月

©電子情報通信学会2018

1.は じ め に

 近年,日本の農業分野において,ドローンの実利用の期待は高まっている.それは,日本の農業は生産者の高齢化(平均年齢66.7歳)及び熟練生産者の引退によるノウハウの喪失,少子化による後継者不足の深刻化(農業就業人口181.6万人)など,他の産業に比べて特異な構造となっており,多くの課題を抱えているためである(1).そのような現状の転換の一つに,これまで農業と関係が浅かった異業種分野やベンチャー企業による農業用ロボットやIoT・AI技術を駆使した精密農業の導入が各地で進み始めている.そもそも精密農業には,国や地域によって捉え方が異なる.アメリカは大規模農家(日本の農家当りの農地面積の約100倍)を中心に生産性の向上を目的とし,ヨーロッパでは農業による環境負荷を低減することを目的としている.日本では,複雑で多様なばらつきのある農場に対し,事実を記録し,その記録に基づくきめ細やかなばらつき管理を行い,収量や品質の向上及び環境負荷低減を総合的に達成することを目的とする農法とされている(2).日本のような小さい面積であっても,圃場内の状態は均一とは限らず,ばらつきが存在しており,それを制御することで収量及び品質の向上ができるという考え方である.

 圃場のばらつきを把握する手段として,従来から農家が農作物に触れたり,目視による確認で生育判断が行われてきた.これを効率的かつ定量的に非接触で把握する方法としてリモートセンシングがある.リモートセンシングによって,農作物の生育状況をきめ細かく管理し,これまでの生産者の「勘と経験」を数値として情報化することで,収量及び品質の向上をもたらすことができる.

 既に,農作物の作付け品目の特定や面積の把握,小麦や稲などのたんぱく質含有量や収穫期推定など多岐にわたり衛星リモートセンシングが活用されている.衛星リモートセンシングを用いた水稲のモニタリング手法は実用化されており,生育管理された農作物は地域ブランド(例えば,青森県産の「晴天の霹靂」など)として市場に出回っている(3).しかし,課題も残っている.まず,衛星リモートセンシングの観測に使用されるセンサは,大きく分けて光学センサとマイクロ波センサがある.光学センサは太陽の反射光を測定するため,観測時の気象状況,特に雲に左右されやすい.精密農業では,生育ステージに応じて農作物の生育モニタリングを行うことが必要であるため,欲しい時期の情報が得られないことは課題であった.現在は5日周期で同一地点を撮影(例えば,従来から用いられているLandsatの場合は16日周期)するSentinel-2など複数の人工衛星を組み合わせて生育状況を取得できるようになってきた.また,マイクロ波センサは機体からマイクロ波を地球に向けて発射し,対象物から反射されたのを測るため,悪天候時でも地表面の状態を取得することができる.ただし,光学センサよりもデータ処理が複雑なため,現場での導入は課題となっている.


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