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ドローンがもたらす新しい世界 3. ドローンの活用事例
小特集 3-4
三次元ドローンメッシュネットワークへの挑戦
――アンテナからネットワークまでの横断的アプローチ――
Challenges for 3D Drones Wireless Mesh Networking: Cross-cutting Approach from Antenna Design to Networking Technologies
近年,小形自律無人航空機(ドローン)を用いた研究開発は国内でも精力的に進められ,物流や広域災害対応,空撮,農業利用など新たな分野における産業利用/公的利用などに広まり,「空の産業革命」として期待されている.これらを背景に,ドローンを用いた通信技術は各研究機関や大学にて研究開発が進められている.例えば,国内では,KDDI研究所と大学が産学連携により,次世代移動通信システム5Gを用いた,ドローンからの4K映像伝送実験が行われている(1).また,情報通信研究機構(NICT)は,ドローンが撮影した動画像データを,中継ドローンを介して,電波が直接届かない場所であるカバレージホールまで伝送する技術を開発している(2).これらの技術は,既存のネットワークとの連携やドローン自体が空撮した動画像の伝送技術であり,ドローンと地上局との通信が主な研究課題と考えられる.
一方,国外では,フランスのプロジェクトとして,Green Communications社などは,数年前から大規模なドローン中継ネットワークのためのプロジェクトを立ち上げ,メッシュネットワーク/アドホックネットワークの構成を用いた,ドローンの中継伝送のための研究を進めている(3).またニューヨーク大学のDr. M. Mezzavillaは,大型ファンドを獲得し,周波数帯にミリ波を採用したドローンによる新しい通信方式の研究開発に取り組んでいる.すなわち国外においては,ドローンを用いた通信技術は,多数のドローンを中継局とした新しいネットワークとして,メッシュネットワーク/アドホックネットワークのような形態に取り組んでいる点が特徴である(4).
このようなドローンを中継局としたメッシュネットワークなどを用いることは,新しいサービスの実現につながる.例えば,図1に示すように,災害時にドローンを展開すれば,迅速な情報収集や,広範囲にわたった長距離中継伝送が可能となる.またスポーツ観戦のスタジアムでは,多視点でリアルタイム映像配信を実現できる.歴史的建造物など,複雑な構造も周囲を取り囲むように撮影し中継すれば,短時間で三次元画像スキャニングが可能になる.
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