総合報告 ディジタル信号処理教育の今とこれから

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総合報告

ディジタル信号処理教育の今とこれから

Current and Future Perspective of Digital Signal Processing Education

越田俊介 陶山健仁

越田俊介 正員 東北大学大学院工学研究科電子工学専攻

陶山健仁 正員 東京電機大学工学部電気電子工学科

Shunsuke KOSHITA, Member (Graduate School of Engineering, Tohoku University, Sendai-shi, 980-8579 Japan) and Kenji SUYAMA, Member (School of Engineering, Tokyo Denki University, Tokyo, 120-8551 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.101 No.2 pp.212-220 2018年2月

©電子情報通信学会2018

abstract

 ディジタル信号処理は幅広い分野において用いられている技術であり,それゆえに,ディジタル信号処理の教育に対する需要は非常に大きくなっている.学会の場においても,ディジタル信号処理教育は20年ほど前から盛んに議論されてきたが,学生の興味や考え方の多様化,教材やソフトウェアの発展,産業界のニーズの変化などにより,ディジタル信号処理教育に関する課題は今もなお数多く生まれ続けている.本稿では,まずディジタル信号処理教育の過去と現在の状況を改めて整理し述べる.次に,現在のディジタル信号処理教育の事例について,主として2016年3月総合大会の公募シンポジウムでの講演を中心に紹介する.そして,現在及び今後のディジタル信号処理教育において考えるべき課題について議論する.

キーワード:ディジタル信号処理,教育,理解

1.は じ め に

 ディジタル信号処理は,かつては通信関係の分野を中心として用いられていたが,今日では画像処理や音声・音響処理をはじめ,人工知能,制御工学,電力工学,医療工学など非常に幅広い分野において必要とされる技術となっている.文献(1)においても述べられているとおり,ディジタル信号処理は今後も様々な方面へ大きく進展していくと見込まれる.これに伴い,ディジタル信号処理の教育に対する需要も非常に大きくなっており,今日では多くの大学・大学院・高専において,電気・通信・情報関係の学科を中心としてディジタル信号処理の教育が広く実施されている.

 学会の場においても,ディジタル信号処理やそれに関連する学問の教育の在り方については,様々な観点から議論され続けてきた.例えば本会の基礎・境界ソサイエティでは,主として回路とシステム(CAS)研究会と信号処理(SIP)研究会によって,次の企画が本会総合大会及びソサイエティ大会において実施された.

 ・ ディジタル信号処理教育の事例紹介と課題(2016総大)(2)(15)

 ・ 広く読まれる回路の教科書とは(2014総大)(16)(18)

 ・ 回路基礎教育:何をどこまで(2012総大)(19)(21)

 ・ アナログ回路技術者をどう育てるか?(2006ソ大)

 ・ 信号処理教育の現状と課題(2006総大)

 ・ 信号処理の教育はこれでよいか(2000ソ大)(22)

 これらの企画では,教育機関における講義としての教育から技術者育成としての教育まで,幅広い観点から教育についての討論が活発に行われてきた.また,本会大会以外の場においても,様々な研究会において教育に関する発表が行われ議論されている(23)(26).更に,1999~2013年の期間においては,ディジタル信号処理の教育を考える会の主催によるDSPS教育者会議(注1)が年1回(計15回)開催されていた.この会議では,信号処理教育の事例紹介や教育に関するパネルディスカッションに加え,大学・高専・企業それぞれによる信号処理の応用事例のデモ発表も実施され,様々な立場から信号処理教育と応用に関して広く意見交換できる場となっていた.また,海外においても信号処理教育は盛んに議論されており,例えばIEEE Signal Processing Societyのフラグシップ会議であるICASSP(International Conference on Acoustic, Speech, and Signal Processing)では,20年ほど前から信号処理教育に関する論文が発表され続けており,特に2017年に開催されたICASSPでは,信号処理教育の特別セッションも開催された.このように,信号処理教育の在り方に関する議論は重要な研究テーマの一つにもなっていると言える.


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