小特集 1. シニアの科学教室での楽しさ

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Vol.101 No.3 (2018/3) 目次へ

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子供の科学教室に見るシニアの活躍──能力,技術の伝承と生きがいを考える──

小特集 1.

シニアの科学教室での楽しさ

Senior’s Pleasure with Children’s Science Education Challenge

竹下秀俊

竹下秀俊 正員 ビッセン株式会社

Hidetoshi TAKESHITA, Member (Wissen Corporation, Noda-shi, 278-0012, Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.101 No.3 pp.304-308 2018年3月

©電子情報通信学会2018

abstract

 日本の高度成長を支えた企業の技術者が,定年後手持ち無沙汰に毎日を過ごし,生きがいや楽しみが感じられる機会を失っている.そこで,子供の科学離れ,理工系離れの解決策の一助とすべく,ボランティアで子供科学教室の開催の機会を得たことで,多くの感動を得,楽しい時間を過ごすことができたので報告する.子供が興味を持って工作しているときの真剣な目,自分で物を作り,作ったものが動いたときの喜びの顔は格別であり,忘れられない.また科学教室後に開催した懇親会での,ボランティア参加の学生とのおしゃべりも楽しい一時である.

 一人でも多くの子供が科学に興味を持って育っていき,日本の科学技術の発展に貢献する人材を輩出できるよう,一人でも多くのシニアの方が科学教室を開催して,非日常の感動を得ることを願ってやまない.

キーワード:シニア,科学教室,教育事業,サイエンス

1.は じ め に

1.1 通信の飛躍的な発達の一翼を担えた現役時代

 約半世紀の間に通信の世界は飛躍的な発展を遂げた.その中で,私は電話の交換機の開発に携わることができ,激務の連続ではあったが,幸運であったと思っている.私の田舎では小学校のとき,電話が設置されていたのは,村長さん宅と雑貨屋さんのみであった.しかも,自動交換ではなく,交換台の交換手が介在する半自動接続であった.そして,私が入社した1974年でさえ,アナログのクロスバ交換機の全盛期で,ようやく制御系にコンピュータ(交換専用に開発したプロセッサ,コアメモリ,外部記憶装置は磁気ドラム)を使い始めたときであった.そして,電話の加入を申請しても設置まで待たされた(積滞)時代でもあった.(4年後の1978年3月には積滞解消.)ところが現在は,胸ポケットに収まる携帯電話/スマートホンが普及して,いつでも,どこでも,誰と(グループ)でも通話/データ共有することができ,クラウドから様々な情報を得ることができるようになった.このような飛躍的な通信の発展を,当時は誰も予想できなかったと思う.そして,ライフライン(119番,110番通話)としての役割は固定電話から携帯電話へと移行し,2017年6月末の移動電話は16,726万契約(総務省情報通信統計データべース)に達し,一人で2台の携帯電話を所有する時代へと移行した.電話の発展の歴史については,図1の電話の発展年表に示す.

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