特集 1-1 政策を推進する立場から働き方改革について

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1. 働き方改革に対する取組み

特集1-1

政策を推進する立場から働き方改革について

Work Style Reform: From a Politician’s Point of View

橋本 岳

橋本 岳 衆議院議員

Gaku HASHIMOTO, Nonmember (Member of the House of Representatives, Tokyo, 100-8982 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.101 No.5 pp.418-423 2018年5月

©電子情報通信学会2018

1.概     要

 働き方改革は単に仕事を楽にすることではない.日本は過去20年間,生産年齢人口の減少を多様な就業機会の拡大や就業形態の多様化,生産性の向上等によってカバーして経済成長を続けてきた.働き方改革は,その間に生じた長時間労働や労働市場の二極化等の課題を克服し,個々人のライフステージに合った仕事の選択機会を増やし,仕事の意欲を高め,仕事と家庭等の両立を実現することを狙いとする.技術者・研究者も労働法制下にあることにも留意すべきである.今後のICTの進展がユニバーサルな社会の実現に資することを期待する.

2.は じ め に

 まず図1を御覧頂きたい.これは日本経済新聞社の広告(注1)からの引用である.横山光輝の漫画「三国志」の絵を使いつつ社会的キーワードとして働き方改革が取り上げられている.こうした形で政策が取り上げられ人口に膾炙することは,関与した一人としては誠に有り難いことであると考えている.

fig_1.png

 一方で,説明として「過度な仕事ぶりを反省し,社内の改革に力を入れている」と記しており,働き方改革とは「仕事ぶりを楽にすること」であるかのような認識が記されている.働き方改革の議論が行われている際に,2015年12月に発生した大手広告代理店における過労自殺事件がクローズアップされたことからしても,このような認識が世間にかなり広まっていると考えられる.こうした理解は,必ずしも誤りと決めつけることはできないが,しかし十分なものとも言えない.

 筆者は第3次安倍第2次改造内閣における厚生労働副大臣として政府の「働き方改革実現会議」に陪席し,厚生労働省内における事務的な検討に参加した.また2017年秋以降は自由民主党厚生労働部会長として引き続き「働き方改革」の実現に向けて取り組んでいる.その立場から,過去20年間のマクロな労働環境の変遷と克服すべき課題を記し,安倍政権が取り組む働き方改革の狙いを示す.その上で技術者・研究者と労働法制との関連や,ICTへの期待を述べるものである.なお文責は全て筆者にあり,所属組織等の見解を示すものではないことに御留意願いたい.


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