特集 1-3 2030年の労働環境と民間企業における働き方改革の取組み

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Vol.101 No.5 (2018/5) 目次へ

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1. 働き方改革に対する取組み

特集1-3

2030年の労働環境と民間企業における働き方改革の取組み

Work Environment in 2030 and Current Status of Work Style Reform of Private Companies

入江崇介

入江崇介 (株)リクルートマネジメントソリューションズHR Analytics & Technology Lab

Shusuke IRIE, Nonmember (HR Analytics & Technology Lab, Recruit Management Solutions Co., Ltd., Tokyo, 141-0032 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.101 No.5 pp.429-433 2018年5月

©電子情報通信学会2018

1.は じ め に

 少子化,高齢化が進む中,社会・企業における「働き手の確保」,また働き手側の「働きたいという欲求の充足」,双方を実現するために,多様な人材が個々の置かれた状況やニーズに合わせて働くことができる環境の整備が求められている.このような環境を実現するための新たな生き方・働き方のデザインは,安倍内閣で「一億総活躍社会の実現」「働き方改革の実現」「人生100年時代構想」というテーマが掲げられているとおり,重要な社会課題となっている.

 働き方改革の検討テーマの中にも「高齢者の就業促進」があるが,本稿では,今後の生き方・働き方の中でも,「高齢者になっても働き続ける」ということに着目する.なぜならば,技術革新のスピードが速まり,働くために求められる知識・スキルの変化のスピードも速まる中,「高齢者になっても働き続ける」ということは今後ますます難しくなる可能性があるからである.

 なお高齢者の定義は,国際連合では60歳以上,世界保健機関では65歳以上とされているように,一意には定まっていない.本稿では,主に65歳以上を指す言葉として高齢者を用いている.

2.高齢者になっても働き続ける2030年

 「労働力調査」(1)によると,日本での65~69歳の就業者割合は男性で53.0%,女性で33.3%であり,高齢者になっても働き続けることは既に現在進行形の現象である.このことがより進むと想定される理由を,現在並びに2030年の労働環境も視野に入れて確認していく.

 理由の一つ目は,「高齢者の雇用を進めざるを得ないから」である.日本の人口は既に減少期に入っているが,国立社会保障・人口問題研究所(2)によると,2015年に1億2,709万人であった日本の総人口は,2030年には1億1,913万人まで減少すると推計されている.また,年齢別人口比率は,15~64歳/65歳以上のそれぞれについて,2015年は60.8%/26.6%であったのに対し,2030年は57.7%/31.2%になると推計されている.よって,社会・企業が労働力を確保するためには,高齢者の雇用を進めざるを得ないだろう.

 二つ目の理由は,「高齢者になっても働かざるを得ないから」である.なぜならば,老齢厚生年金の支給開始時期は60歳から段階的に引き上げられており,男性では2025年,女性では2030年から,65歳となるからである.なお,「高齢者等の雇用の安定等に関する法律」の改正により,2025年4月からは希望者全員を65歳まで雇用することが企業に義務付けられ,その受け皿も用意される見込みだ.

 三つ目の理由は,「高齢者の定義が変わる」可能性である.「高齢者に関する定義検討ワーキンググループ」(3)では,10~20年前と比較して加齢に伴う身体・認知機能の変化が5~10年遅延していることから,「75歳以上を高齢者とする」という提言がなされている.もし,これがコンセンサスを得たとすれば,将来はより高齢になるまで働き続ける人の割合が高まることとなる.


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