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本会選奨規程第17条による喜安善市賞(第11回)は,下記の論文を選定して贈呈した.
Plate-Laminated Waveguide Monopulse Slot Array Antenna with Full-Corporate-Feed in the E-Band
(英文論文誌B 平成29年4月号掲載)
本論文では,71~86GHz帯において,二次元モノパルス回路と16×16素子並列給電スロットアレーアンテナを積層薄板導波管構造拡散接合により一体化で実現した.モノパルス回路は和パターンと差パターンを形成し,それらでの出力差で方向を推定する.特に差パターンにおける正面方向のヌルをできるだけ深くすることが重要である.本論文では,二次元モノパルス回路をマジックTの二段縦続接続により実現している.マジックTが持つ構造対称性により,周波数によらずバランスの取れた出力が保証される.また,スロットアレーアンテナに関しては,完全並列給電により全ての素子が周波数によらず等振幅等位相で給電されるため広帯域特性が実現できる.更に,積層薄板拡散接合では,導波構造をエッチングした多数の金属薄板を積層し,真空加圧高温下で接合しており,低損失な電気的密着を実現する.ミリ波帯において複雑な中空導波路多層構造を簡易に実現する一手法として考えられる.誘電体を用いておらず,高次モードが発生しない範囲で導波路高さを大きくして導体損を少なくしており,高いアンテナ効率が実現できる.設計,試作,測定により,深いヌル,広帯域,高アンテナ効率であるこれらの特長を実証した.本アンテナを二つ,非遠方界領域で向かい合わせることで,直角座標系における電磁界分布の二次元直交性に基づく多重伝送ができ,本アンテナの広帯域性を生かした大容量伝送実現の期待もできる.
以上述べたように,本論文では,ビーム切換回路とスロットアレーアンテナのミリ波帯における低損失一体化を積層薄板拡散接合で実現する一手法を提案した.更に,その手法の有効性を実験により確認している.よって,本論文は本賞に値する.
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