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――安全で省電力なウェアラブル機器間通信に期待――
東京理科大学と東京大学の研究グループは,数値人体モデルを用いた電磁界解析により,頭部に装着する左右分離形デバイス間の人体通信の信号伝送メカニズムを解明し,通信に適した周波数や電極構造を明らかにした.
福祉機器である補聴器は両耳に装用することで,聞き取りの明瞭度や音像定位能力が改善され,利用者のQOL(Quality of Life)が向上する.ただし両耳装用の場合,音場の性質に適応して左右の補聴器間でリアルタイムに通信し,音量や音質を最適化する必要がある.しかし,現行の通信方式は2.4GHz帯などの高周波を用いており,左右のデバイスのアンテナ同士が頭部で遮られる状況では通信が途切れる場合がある.これは一般に周波数が高いほど人体に吸収される電磁波のエネルギーが大きく,これらの周波数帯では頭部が信号伝送の障害として作用することが原因である.一方,人体そのものや周辺空間を通信媒体として有効活用する技術「人体通信」が提案されている.人体通信では,高周波信号が電極を介して誘電体である人体に入出力されることで通信を行う.この伝送原理から,図1に示すように人体近傍のみに電界が分布し,既存の無線通信技術に比較して高秘匿かつ低消費電力の通信を行える可能性があり,主にウェアラブル機器間通信への応用が期待されている.
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