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Beyond 5Gを支えるフォトニクス技術とその展望
小特集 2.
ディジタルコヒーレント光伝送技術のBeyond 5Gモバイルフロントホールへの応用
Application of Digital Coherent Optical Transmission Technology for Beyond 5G Mobile Fronthaul
Abstract
我々はBeyond 5G大容量モバイルフロントホールを実現する光伝送方式として,光注入同期技術を用いたディジタルコヒーレント多値伝送を提案している.本伝送システムでは送信用光源と局発光源を1台のレーザに担わせており,比較的簡便な構成で大容量伝送を実現することができる.本稿では,Field Programmable Gate Array(FPGA)コヒーレント送受信機を用いた注入同期オンライン双方向光伝送技術を紹介する.
キーワード:ディジタルコヒーレント光伝送,光注入同期,モバイルフロントホール
第5世代移動通信システム(5G)の運用が世界各国で開始され,超高速,多数接続,超低遅延といった多様なサービスが展開され始めている.しかしながら,その一方で移動通信のトラヒックは年率約30%で増加の一途をたどっており(1),5Gが本格的に社会に浸透していく2025年以降には,これまで以上に多様で快適な通信サービスが求められる.このようなサービスを支えるため,最近では5G高度化(Advanced 5G)や6GといったBeyond 5G大容量RAN(Radio Access Network)の研究開発が精力的に進められている(2),(3).
Beyond 5Gにおいては,伝送制御やベースバンド信号処理を行う基地局ベースバンド部(BBU: Base Band Unit)を1か所に集約し(収容局),アンテナ及び高周波信号処理を担うアンテナ無線部(RRH: Remote Radio Head)を多数分散配置するCentralized-Radio Access Network(C-RAN)(4)の適用が不可欠となる.
図1にC-RAN構成の模式図を示す.C-RANではBBUとRRH間はCommon Public Radio Interface(CPRI)(5)に準拠した光インタフェースで接続される.この光伝送区間はモバイルフロントホール(MFH: Mobile Fronthaul)と呼ばれている.CPRIを用いたMFHではディジタル化された無線のIQ信号が伝搬する.その伝送容量はA-D変換器のサンプリング周波数や量子化ビット数,及びMulti-input and multi-output(MIMO)規模等から決定され,一般的に無線容量の約16倍となることが知られている.最近ではMFHの容量を抑制するため,イーサネット規格をベースとしたevolved-CPRI(eCPRI)が提案されている(6).eCPRIは,従来のCPRIと比較してMFHの容量を1/3程度に抑制することができる.しかしながら多数のアンテナが高密度に配置されるBeyond 5Gにおいては,MIMOの規模が大幅に拡大するため,eCPRIを適用した場合においてもMFHの容量は数百Gbit/sとなることが予測される(7).また,MFH部の遅延要求条件等から,その伝送距離はおよそ10~20kmと想定される(7).
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