解説 リモート会議システムの最近の動向と今後の展開

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リモート会議システムの最近の動向と今後の展開

Recent Trends and Future Developments of Remote Meeting Systems

山村一郎

山村一郎 エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社ドコモビジネス事業本部

Ichiro YAMAMURA, Nonmember (DOCOMO Systems Division, NTT Comware Corporation, Tokyo, 112-0004 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.106 No.6 pp.510-514 2023年6月

©電子情報通信学会2023

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 遠隔でも双方向に映像を交えてコミュニケーションを行えるリモート会議システムは,通信技術の発展と働き方改革といった組織の生産性向上ニーズの高まりを受けて,近年ビジネス現場で当たり前に使われるようになってきた.リモート会議システムやその中で現在主流となっているWeb会議サービスについて,コロナ禍での利用急増に伴う技術的・構造的な課題とその対策を,実例を交えながら解説し,今後の新たな利用シーンと今後の技術的な発展の方向性について展望する.

キーワード:リモート会議,働き方改革,テレワーク,コミュニケーション文化

1.は じ め に

 リモート会議システムは,2010年頃からの働き方改革の中で遠隔とのコミュニケーションを円滑にし,生産性を向上させるためのツールとして徐々に浸透してきた.また,新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛に伴い,多くの会合がリモート会議システムを利用するようになり,今やリモート会議システムは日常的なコミュニケーションツールとなった.「リモート」から「対面」へ戻る動きも見られるものの,リモート会議システムは日常的なコミュニケーションツールとしての地位を確立したと言っても過言ではない.

 本稿では,ドコモグループのオフィスワーク基盤の開発を担当してきた立場から,リモート会議システムやその現在の主流であるWeb会議サービスの動向について解説する.とりわけ,働き方改革や昨今注目されているDX(ディジタルトランスフォーメーション)の中での位置付け,またコロナ禍での外出自粛に伴う利用急増に伴う技術的・構造的な課題とその対策を,実例を交えながら解説し,今後の新たな利用シーンと今後の技術的な発展の方向性について展望する.

2.利用者の増加状況と課題

2.1 双方向映像コミュニケーションの変遷

 映像コミュニケーションとして,遠隔地をつないで音声や映像をやり取りするシステムとして最初に登場したのが,NTTが1984年にサービスを始めたテレビ会議システムである.当時は大規模なシステムで,重役会議など特別な会議や本社と工場を接続するなど,一部の先進的な企業で導入され,利用できるのも限られた人たちのみであった.

 1988年のISDNサービス開始や1990年代以降のインターネットの導入,2000年以降のブロードバンド通信網の整備も手伝い,これらテレビ会議は徐々に使われるようになっていった.

 一方,パソコンでも利用できるWeb会議は,2000年代のインターネット環境の普及により,専用の回線や場所・端末によらない双方向の映像コミュニケーション手段として登場した.2010年頃になるとインターネットが一般化し,また技術の進歩でより高速な通信が可能になったことで,Web会議システムは更に普及し,市場は右肩上がりに拡大していった.


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