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未来を創る情報通信エンジニアリング
4.
エンジニアリング分野における少子高齢化時代の人材確保の取組み
Efforts to Secure Human Resources in the Engineering Field in the Age of Declining Birthrate and Aging Population
日本は少子高齢化により,エンジニアリング分野における人材確保が喫緊の課題となっている.本稿では,学生との接点を増やす施策,多様性の推進,柔軟な働き方の整備といった持続可能な人材育成の取組みを概説する.また,国際的な人材採用や技術者育成の強化を通じ,通信業界をはじめとするエンジニアリング分野の競争力向上を図る具体的な方策を提示する.
キーワード:少子高齢化,人材確保,多様性
日本社会は,少子高齢化という深刻な社会的課題に直面している.総務省の統計によれば,2025年には日本の高齢化率(65歳以上の割合)は約30%に達し,2040年には35%に達する見込みである(1).このような状況の中,エンジニアリング分野では人材不足が顕著化しており,技術の継承や新たな技術革新の担い手を確保することが急務となっている.特に,通信インフラを支えるエンジニアの不足は,社会インフラの安定性にも大きな影響を及ぼす可能性がある.
本稿では,少子高齢化に伴う日本の状況を概観し,エンジニアリング分野における人材確保の課題と解決策に向け,国内外の取組みや学生との接点を増やすための施策,そして多様性の推進といった観点から,持続可能な人材育成の方策を探り,新たな採用ルートの創出や志望者の増加を目指すものである.
なお,本稿における「エンジニア」には,無線や基地局建設に携わるエンジニアのほか,ソフトウェア領域に携わるエンジニアを含み,幅広い人材の活躍を念頭に各取組みについて論述している.
日本の少子高齢化は,他国に比べても特に深刻である.2023年の厚生労働省のデータによれば,日本の出生率は1.20であり,人口を維持するための必要な出生率である2.10を大きく下回っている(2).これに対し,同じ年のアメリカの出生率は1.62(3),フランスは1.68となっており(4),日本の出生率は他の先進国に比べても低水準にある.
また,日本の平均寿命は2023年時点で男性が81.09歳,女性が87.14歳と,世界でもトップクラスの長寿社会である(5).このため,高齢者人口の増加と労働力人口の減少が進行している.2023年の日本の労働力人口は約6,925万人で,労働力人口比率(15歳以上人口の割合)は62.9%となっている(6).
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