特集 5. 技術継承におけるエンジニアリング領域の活性化への取組み

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枠

未来を創る情報通信エンジニアリング

特集

     5.

技術継承におけるエンジニアリング領域の活性化への取組み

Initiatives to Revitalize a Communication-network Engineering Industry in Technology Inheritance

佐藤 進

区切り

佐藤 進 KDDIエンジニアリング株式会社

Susumu SATO, Nonmember (KDDI Engineering Corporation, Tokyo, 151-0053 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.108 No.5 pp.405-409 2025年5月


 本記事の著作権は著者に帰属します.

abstract

 本稿では,情報通信エンジニアリング領域の「働き手」に注目し,KDDIエンジニアリング株式会社の取組みを通して,技術継承と人材の活性化に向けた事例を紹介する.情報通信エンジニアリングの業務領域は多岐にわたるが,特に運用・保守,モバイル建設及びファシリティの各業務において,通信インフラを支える働き手の確保や,ベテランの専門知識とノウハウを効果的に継承するための戦略について説明する.また,働き手の技能向上意欲を引き出す活性化施策として,技能コンテストを紹介する.最後に,領域全般の課題を指摘し,将来的な方向性について考察する.

キーワード:情報通信エンジニアリング,人材育成,技術継承,人材活性化

1.は じ め に

 筆者が携わっている情報通信エンジニアリング事業は,日進月歩の技術革新によって急速に進化している最先端の情報通信技術を,顧客の要求に応えるべく,急速かつ安全に社会に実装していくことを使命としている.筆者の属するKDDIエンジニアリング株式会社(以下,「当社」とする)は,日本の大手総合通信事業者であるKDDI株式会社の戦略子会社として,同社の保有する電気通信設備の建設及び運用・保守業務を一手に担っている.

 情報通信エンジニアリング事業の業務領域は多岐にわたる.図1に当社の主要業務領域を示す.通信インフラ建設は,携帯電話基地局(アンテナやそれに付帯する通信設備等.以下,「基地局」とする)に加え,ネットワーク,建物などのファシリティまで手掛ける.運用・保守は,日本全国の通信を24時間365日監視するネットワーク監視系業務,全国各地のバックボーン等の基幹設備を受け持つセンター系保守業務,広く国土をカバーする基地局を受け持つフィールド系業務に分かれる.地道な業務であるが,信頼性の高い通信手段を提供し,情報化社会を支えるために不可欠な基盤である.

図1 主要業務領域

 現在,我が国では,少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少(1)や,働き手のニーズの多様化(2)などにより,人手不足が深刻化しつつある.また,経験豊かなベテラン社員の退職に伴う技術継承も喫緊の課題である.本稿では,情報通信エンジニアリング領域の「働き手」に注目して,当社における技術継承と,人材の活性化に向けた事例を紹介する.なお当社では,「人材」という言葉を特に「人財」と表記しているが,本稿では一般の読者に配慮し,通常どおりの記載とした.本稿が情報通信エンジニアリング業界全体の活性化に向けた実際的な課題の理解に寄与すれば幸甚である.


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