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現在,AI,IoTといったキーワードを耳にしない日はなく,これらの適用事例であるスマートスピーカの米国を中心とした普及や自動運転実験の成功のニュースなどもあり,「情報・システム」分野は私たちの暮らしを便利で豊かにする技術として大きく期待されています.情報・システムソサイエティ(ISS)では,28の研究専門委員会(以下,研専)(注1)が,これらのキーワードを含む情報処理技術,コンピュータ・通信・人間を融合したシステム化技術に関する基礎から応用までを研究領域とし,社会発展への持続的な貢献を目的として精力的に活動しています.
本特集では,情報処理技術の将来展望を,①研究分野にとらわれない未来予測と技術ディスカッションを行う第1章と,②研究分野ごとに過去の振り返りと将来展望を行う第2章の二つのアプローチで行いました.
第1章では,各界で御活躍されている3名の方から,御自身の経験や価値観に基づく忌憚のない未来予測と技術への期待を述べて頂き,これを受けて,専門領域の異なる6名による座談会でディスカッションを行いました.作家の冲方丁様には,未来を舞台にした「攻殻機動隊」や「蒼穹のファフナー」で描いた世界観について,その思いと技術への期待をインタビューでお話しを伺いました.ベンチャーキャピタルデフタ・パートナーズ会長であり,各国政府のアドバイザも務めておられる原丈人様には,2050年頃に世界で起こるであろう事象と課題,「政治を創る技術」への期待を述べて頂きました.NHKの阿部博史様には東日本大震災の「震災ビッグデータ」の御経験から,命を守るための技術への期待を述べて頂きました.座談会では,各技術分野の論客6名に出席頂き,東京大学山崎俊彦様にモデレータをお願いし,冲方,原,阿部各氏の未来予測で話題となった技術を中心に,未来に向けた技術課題や解決するための道筋などを議論頂きました.
第2章では,28研専の皆様に,まず,①初期メンバー等の方々を中心に,各分野を歴史を振り返り,その分野の成り立ちから現在に至るまでの流れと,どのように私たちの生活に影響してきたかの観点で執筆頂きました.続いて,②現在研専をけん引している方々を中心に,今後の各研専の分野の方向性と今後の活動について記載頂きました.見やすいように100周年史と同様の「コンピュータシステム」「情報処理システム」「ヒューマン・コンピュータインタラクション」「音声メディア」「映像メディア」「知能情報メディア」で区切って掲載しています.各分野の詳細に御興味を持たれましたら,本会誌に関連記事が多数ございますので,是非,バックナンバーを御覧頂ければと思います.
最後に,御多忙の中,原稿の執筆を御快諾頂いた執筆者及び座談会御出席の皆様,1,2章の企画及び座談会運営に多大な御協力を頂いた山崎俊彦様(東京大学),及び委員の水野洋様(パナソニック),元委員の小林彰夫様(NHKエンジニアリングシステム)・加藤恒夫様(同志社大学),並びに,各種御調整をして頂きました学会事務局の皆様に深く感謝致します.
特集編集チーム
小野 智弘 小林 彰夫 片岡 裕雄 天野 浩文 石川 真澄 伊藤 聡 井口 寧 大矢 哲也 加藤 恒夫 高野 了成 豊田 雄志 中里 純二 中嶋 秀治 中野 大樹 林 敏浩 前川 拓也 待井 君吉 水野 洋
(注1) 特別研専含む.なお,2017年6月1日に,「時限研専」から「特別研専」へ改称した.
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