記念特集 2-1 情報・システムソサイエティの更なる発展に期待して

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Vol.100 No.10 (2017/10) 目次へ

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中村裕一 正員:フェロー 京都大学学術情報メディアセンター

Yuichi NAKAMURA, Fellow (Academic Center for Computing and Media Studies, Kyoto University, Kyoto-shi, 606-8501 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.100 No.10 p.1043 2017年10月

©電子情報通信学会2017

 情報・システムソサイエティ(ISS)は,コンピュータによる情報処理技術,コンピュータ・通信・人間を融合したシステム化技術に関する基礎から応用までの分野を研究領域としています.本特集では,各研究専門委員会(以降の記事においては,研専と略す)から,それぞれの分野のこれまでの歴史,現在の動向,また次の100年を見据えた展望などを述べて頂くことにしました.近年,これらの分野では,ビッグデータ,人工知能,IoTをはじめ,基礎から応用にわたるまで,世界中で活発な動きが見られます.現代社会を支える基盤技術を研究する分野であるとともに,新しい社会の仕組みを探るような研究分野ともなっており,これからのますますの発展が期待されています.その一方で,日本の学会は難しい立場に立たされているとも言えます.国際的な発表や活動が求められ,それを基に研究の評価や組織の審査を受ける現状において,日本の学会が本当に必要とされている機能を提供しているか,本会が100年の歴史に裏付けられた影響力を保っているかどうかが問われています.それに応えるために,ISSは内容を随時見直しながら活動を行っています.

 ・ 新しい時代の研究会へ

 ISSでは28の研専が活発に活動しています.これらの研究会の技報の電子化を,通信ソサイエティの試行・実施に追従する形で,平成29年度から開始しています.更に,来年度以降,技報の購入や年間購読料の代わりに研究会への参加費を負担してもらう形での運営を計画しています.これによって,研究会の合同開催や研究会参加への柔軟性が高まり,研究会間の交流をより一層促進することを狙っています.これまでにも種々の取組みを行ってきました.技報への掲載が既発表とみなされる場合があることから,Extended Abstract相当の原稿だけで発表できる,ショートペーパー論文を一部の研究会で始めました.発表件数の増加につながっており,今後も継続します.

 ・ 新しい時代に相応しい論文誌へ

 英文論文誌では,平成29年1月から他ソサイエティに先駆けて,過去の発行論文を含めた全論文のオープン公開を始めました.オープンアクセスは,読者,著者,両方の側に大きなメリットがあり,オープンアクセス論文としての投稿を推奨している組織やプロジェクトなどが増えてきています.現在,オープン化の効果を最大限に発揮できるよう,ISSのメンバーに投稿や活用などの呼び掛けを行っているところです.また,近年のビッグデータ研究や評価用データベースの普及などの時代の流れに即応するため,データセットの開発と公開を査読基準に加えたデータセット論文カテゴリーを平成28年度に新設しました.

 これらの取組みが日本の学会が直面している問題の解決策になることを期待しています.今後,これらの結果を全ソサイエティで共有し,学会全体でより効果的な研究会運営や研究成果公開の在り方について検討していきますので,より一層の応援をお願い致します.

(平成29年6月29日受付)

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(なか)(むら) (ゆう)(いち) (正員:フェロー)

 平元京大大学院博士課程了,同大学助手,筑波大助教授などを経て,平16京大学術情報メディアセンター教授.博士(工学).画像・映像処理,生体信号処理,インタラクションの研究に従事.平26年度本会ヒューマンコミュニケーショングループ運営委員長,平29年度情報・システムソサイエティ会長.


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