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NLC研専では,主に自然言語処理に関する技術を扱っている.自然言語処理を対象とする学術団体は,ほかにも言語処理学会や情報処理学会の自然言語処理研究会(NL研)等があり,発表者の重複が見られる.また,情報アクセスや言語理解等とも密接に関係することから,情報処理学会の情報基礎とアクセス技術研究会(IFAT研)や本会基礎・境界ソサイエティの思考と言語(TL)研専とも関係している.本研専は年4回の研究集会を実施しており,いずれにおいても,共催・連催という形態で関係団体と協働している.なお,発表者の重複は見られるものの,幹事等の運営者の重複はほとんどなく,形式的にも実体的にもそれぞれ独立に運営されている.
本研専はテキストアナリティクス(テキストマイニング)を柱に据えることで,他団体との違いを意識している.テキストアナリティクスは自然言語で記述された情報から有益な知識を獲得する試みであり,大規模データを扱えるようになった今日,学術界のみならず産業界においても活発に取り組まれている.通常,学術団体は「研究」を軸とするが,本研専は「テキストアナリティクス」を軸とすることにより,利用事例も積極的に扱い,研究成果というシーズの議論に限定されがちであった研究会活動において,応用現場というニーズも議論できる場を作っている.その結果,産業界からも多数の参加を頂いている.
テキストアナリティクスは産業界と密接な関係にあることから,本研専は今後も,学術界と産業界との橋渡しの場として活動していきたい.産業界における成果は一般的に製品やサービスとして世に出されるが,これらに関する知見は必ずしも記録されるわけではなく,提供終了とともに失われることが多い.企業による発表障壁を下げ,製品に関する知見の記録を促していきたい.これにより,その時々のニーズの蓄積ができ,今後の研究方針の検討に寄与できるであろう.
情報交換の場にとどまらず,産学共同研究のマッチングの場としての機能も考えていきたい.研究集会での企画を通じ,学術界は産業界に対して,産業界は学術界に対してどのようにアプローチすればよいのかが分かっていない,ということが明らかになってきた.特に経験の浅い若手研究者,あるいは中小企業でその傾向が顕著である.若手研究者は研究費を必要とし,中小企業は社内で解決できない課題の解決策を求めており,このマッチングによる効用は大きい.
本研専は,今後もテキストアナリティクスを柱に据え,関係団体との協働及び産業界との交流を通じ,学術研究の発展に寄与していく.特に,共同研究経験の浅い研究者と企業との協働支援を推進し,テキストアナリティクスの発展に努める.
(平成29年5月16日受付 平成29年5月31日最終受付)
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