記念特集 2-2-27 分野横断的俯瞰としてのサイバーワールド

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Vol.100 No.10 (2017/10) 目次へ

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井原雅行 正員 日本電信電話株式会社NTTサービスエボリューション研究所

Masayuki IHARA, Member (NTT Service Evolution Laboratories, NIPPON TELEGRAPH AND TELEPHONE CORPORATION, Yokosuka-shi, 239-0847 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.100 No.10 p.1096 2017年10月

©電子情報通信学会2017

1.は じ め に

 サイバーワールド(CW)特別研専は,2005年に時限研専として設立され,今年で13年目を迎える.CG,VR等の映像生成やヒューマンインタフェース分野から,暗号化,セキュリティ等の情報処理分野,更に,Webサービス,ネット銀行等のネット応用に至る最新の成果をニーズ的観点とともに俯瞰してきた.特定技術分野を深めるというよりは,異なる分野の意見交換の場を提供し,相互融合点と今後の発展分野を見いだし,学際的な展望を得ることを目的としつつ,社会活動,ビジネスの側面も重視した議論を行ってきた.

2.活 動 報 告

 主な活動は,年3回の定例研究会及びFITでのイベント企画,論文特集号の発行である.特に,定例研究会では,応用重視の観点から,毎回のように産業界のケーススタディや応用事例を招待講演者の方に紹介して頂くことで,単なる技術議論にとどまらない実社会での影響を踏まえた議論が行われている.

 例えば,2006年6月の開催テーマは,「金融,流通,製造など,Web上のCWビジネス」であり,このときは,電子商取引推進協議会の菅又久直氏に企業間電子商取引に関する基調講演をして頂いた.東日本大震災のあった2011年には,12月研究会で開催テーマ「震災復興と危機管理に立ち向かうIT」を掲げ,国土交通省の小原弘志氏による招待講演「国土管理における情報技術の活用~災害対応と情報技術の役割~」が行われ,国の施策に関する理解を深めつつ議論が行われた.最近では,社会的なテロ脅威の高まりを受けて2015年12月に安全保障をテーマに取り上げ,元公安調査庁の安部川元伸氏(現,日本大学)による招待講演「難民問題とテロリズムの脅威」が行われた.このように,その時代の技術トレンドのみならず社会問題にも目を向け,社会の要請に合った研究開発につながる議論を行っていることが特色となっている.その他,FITでも毎年のようにイベント企画を実施している.詳細は本研専Webサイト(1)から参照して頂きたい.また,数年ごとに論文誌特集号を企画しており,システム開発論文等の応用研究事例を積極的に掲載できるよう努めている.

3.お わ り に

 定例研究会では,毎回,異なる開催テーマを掲げて招待講演を企画しているが,一般講演の部も用意しており,是非積極的に投稿して頂きたい.特に,この研究会は,アカデミアだけでなく企業参加者の割合が高く,より実用面,サービス面を意識した研究フィードバックが得られることが期待できる.

文     献

(平成29年5月10日受付)

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()(はら) (まさ)(ゆき) (正員)

 平3東工大・工・情報卒.平6同大学院修士了.同年NTTヒューマンインタフェース研究所入所.好みモデル化,価値観共有,ヒューマンアフォーダンス,災害時通信の研究に従事.現在,NTTサービスエボリューション研究所主幹研究員.工博.平14ブリティッシュコロンビア大客員研究員.


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