電子情報通信学会100年史紹介

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Vol.100 No.12 (2017/12) 目次へ

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 電子情報通信学会は大正6年(1917年)5月1日に創立された電信電話学会を起源としている.大正6年と言えば明治50年である.学会100周年であるから今年は明治150年になる.明治期の日本社会の変化はよく知られているが,それが50年続いた後,本会ができ,100年間の進歩を推進したことになる.

 本会は50周年,75周年にも記念事業の一環として50年史,75年史を刊行しているが,100周年にも電子情報通信の発展を改めて振り返る100年史の刊行が想定され,多様な記念事業の構想の中で,一番時間が掛かりそうな仕事とお考えになった創立100周年記念事業実行委員会の決定で,私が2013年5月に委員長に任命された.私の最初の仕事は,専門分野ごとの委員をお願いすることであった.学会の活動は1995年からソサイエティを基本としている.100年史もソサイエティを重視し,委員の一部は各ソサイエティの推薦を頂き,それぞれの技術分野について担当をお願いした.この作業の後,2014年4月から100年コンテンツWGとして作業を開始できた.刊行物に関する基本的な議論ができたところで,組織の名称も,2015年6月から100年史刊行委員会と改めた.

 本会の50年史,75年史を改めて読むと,それぞれの時代の技術と学会の状況を理解することができる.25周年は第二次世界大戦中であり,25周年を祝う状況ではなかった.1967年刊行の50年史は50年間の学会の歩みを語る激動の50年史であった.

 その後の25年間は,日本社会が平和を享受し,技術も急速に発展した時期である.1992年に刊行された75年史では,その時代の成功を背景にした,25年間の技術が記述されている.

 技術は社会の変化に対応して変化する.それぞれの技術史で,どの期間の技術を見るかは,その時代に求められるものに対応する.100年史刊行委員会では,100年分の歴史を振り返ることにした.

 100年史では,構成は3部構成とした.第1部は「電子情報通信学会100年の歩み」で,これについては一部を除き,最近25年の動きを中心とする記述とした.この部分の取りまとめは,学会事務局に残っている報告書などを基礎として担当者に取りまとめをお願いし,刊行委員会で編集整理した.

 第2部は「電子情報通信技術100年の発展」と題し電子情報通信技術の100年の歴史を体系的に記述している.全体をソサイエティに合わせた構成とし,研究専門委員会とも御相談し,原稿をお願いした.分野によっては記述される技術の歴史は様々である.電子情報通信技術の100年にわたる進展を客観的資料に基づいて記述するように努力した.

 第3部は「電子情報通信技術の将来の発展につながるトピックス」である.現在,電子情報通信技術が生み出した製品,サービスは急速に発展し,世界中で社会を変化させている.こうした環境の中で,過去の経験に学ぶとともに,今後に期待される重要技術について委員から提案頂き,議論して項目を絞り込み取りまとめた.学会の将来を考える際に第3部を参考に活用して頂くようにお願いしたい.

 執筆は2016年の5月にお願いし,頂いた原稿について刊行委員会で確認した.皆様の御協力により計画どおり100年史を刊行できたことを改めて感謝したい.

 本100年史を会員諸氏に愛読頂き,これからの技術的貢献にあたって,技術の基礎として活用して頂くよう改めてお願いする次第である.


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