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解説
IoTアーキテクチャの最新動向
Latest Developments of IoT Architecture
abstract
クラウドコンピューティングを中心とする大規模なIoTシステムにおいて,近年ネットワーク負荷の増大,応答遅延やプライバシー侵害などの問題が懸念されている.解決策としてエッジコンピューティングの適用が検討されているが,単にクラウドの処理をエッジに移すとアプリケーションごとのIoTシステムの乱立を招き,利用者の利便性を損ねることになりかねない.本稿では,まずIoTアーキテクチャの変遷を解説し,次にエッジコンピューティングをIoTに適用する際の課題を述べる.更に次世代IoTアーキテクチャの最新の研究を紹介し,今後を展望する.
キーワード:IoTアーキテクチャ,IoTプラットホーム,クラウドコンピューティング,エッジコンピューティング,次世代IoTアーキテクチャ
近年,IoT(Internet of Things)が大きな注目を浴び,学術的な研究と同時に,産業分野や社会分野などへの応用も進んでいる(1),(2).例えば,産業分野では,リモートメンテナンスやサプライチェーンマネジメントの高度化が期待される.また,社会分野では,エネルギー管理やヘルスケアなどへの適用が進んでいる.一方で,クラウドコンピューティングを中心とする大規模なIoTシステムにおいては,ネットワーク負荷の増大,応答遅延やプライバシー侵害などの問題が懸念されている(3),(4).これらの問題を解決するために,データの発生源や制御対象に近い場所で処理を行うエッジコンピューティングの考え方のIoTシステムへの適用が検討されている(4)~(6).すなわち,IoTシステムのクラウド側の処理の一部をエッジ側に移すことで,前述の問題は解決される.しかしながら,現状ではクラウドとエッジの役割分担が明確でないため,このままではアプリケーションごとにローカルなIoTシステムの乱立を招き,利用者の利便性を損ねることになりかねない(6),(7).
本稿では,まず,これまでのIoTアーキテクチャの変遷と課題を説明する.次に,エッジコンピューティングをIoTに適用する際の課題について整理した後,この課題の解決を目指した研究の最新動向について言及する.具体例として,自律性や適応性などのAI的手法を積極的に取り入れた次世代IoTアーキテクチャに関する最新の研究を紹介し,今後を展望する.
なお,IoTという用語は,1999年にKevin Ashtonが最初に用いたとされる.一方で,産業界を中心にM2M(Machine-to-Machine)という用語も広く使われてきた.IoTとM2Mの違いが議論される場合があるが,本稿では,広い意味で同義語と扱う.そのため,文献内の用語M2MはIoTに読み替えている.
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