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解説
IP中継ネットワークの技術動向
Technologies in IP Backbone Networks
abstract
近年のインターネットの急速な普及により,IPネットワークにおいてIP中継ネットワークの重要性が高まっている.IP中継ネットワークとは,通信サービス利用者から集められたIPパケットをインターネット接続点等に転送するネットワークであり,データ,音声,映像等の多種多様で大量の通信トラヒックを扱う.したがって,ネットワーク障害等に対する高い信頼性が求められる.本稿では,IP中継ネットワークの役割と機能,IP通信トラヒックの増大に伴うネットワーク形態の変遷と関連する技術について説明する.更に,将来のIP中継ネットワークに向けた研究開発動向について紹介する.
キーワード:IPネットワーク,ルータ,IPルーチング,MPLS,NFV/SDN
現在,通信サービスの多くはIPネットワーク上で提供されるようになり,通信サービスの多様化,高速化が進んでいる.通信サービスの変化に伴い,IPネットワークを支える通信サービス基盤であるIP中継ネットワークの技術も変化している.IP中継ネットワークはその端点であるIPエッジ装置とIPエッジ装置間を中継するIP中継装置から構成される.これらIP装置は,一般にルータと呼ばれ,音声,データ,映像等の多様なIPパケットを,その転送先を示すIPルーチングテーブルに従い経路上隣接するルータを順次経由して目的とするエッジルータまで届ける.本稿では,通信サービスを高速,高信頼に実現するために,IP中継ネットワーク及びIP中継ネットワークを構成するルータに用いられている技術とその動向について,主に通信キャリヤクラスの大規模(全国規模)ネットワークを対象に説明する.
図1に,IPネットワークの一例を示す.本図に示すとおり,IPネットワークは,IP中継ネットワークにアクセスネットワークを収容するサービスルータ及び,他のネットワークとの境界装置(GW: Gateway)が接続された形態となる.本稿ではサービスルータは通信サービス利用者から集められた通信トラヒックに対しサービスごとまたは利用者ごとの制御を行うルータを指す.IP中継ネットワークの役割としては次のようになる.
(1) 大容量IPパケット転送
(2) サービスルータ収容
(3) 他ネットワーク接続
(4) VPN(Virtual Private Network)の提供
(5) ネットワーク冗長
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