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電磁界シミュレーション技術の進展
小特集 4.
テラヘルツ帯における次世代無線通信のための電磁回路のシミュレーションと設計
――フォトニック結晶によるテラヘルツ波の制御と新機能デバイス――
Simulation and Design of THz Devices for Next-generation Wireless Communication: Control of THz Wave and New Functional Devices Using Photonic Crystal Structure
abstract
金属フォトニック結晶構造は誘電体フォトニック結晶よりバンドギャップが広く,閉込めが強いという利点を有するため,テラヘルツ帯の小形電磁波回路への応用が脚光を浴びている.本稿では,テラヘルツ帯金属フォトニック結晶構造をシミュレーションする際の留意点を検討するとともに,線欠陥直角曲がり導波路,点欠陥共振器,フィルタなどの設計事例について紹介する.
キーワード:テラヘルツ波,金属フォトニック結晶,シミュレーション,点欠陥共振器,フィルタ
次世代高度情報通信社会の実現に向けて,テラヘルツ波を利用する無線通信技術の研究・開発・実装技術は,発振源を含めて,高性能デバイスの開発が着実に進展し,新たな低損失材料の開発とともに低損失電磁波回路,信号伝送技術などの確立が望まれている(1),(2).
これまで幾つかの導波構造が提案されているが,最近,電磁波の波長程度の周期性を持つフォトニック結晶(用語)中に線欠陥や点欠陥を導入することにより,その欠陥領域に電磁波が強く閉じ込められる局在現象を利用した電磁波回路が注目されている(3)~(7).このようなフォトニック結晶による電磁波回路は単に電磁波の導波にとどまらず,プラットホームとして用いることにより,様々な機能デバイスを同一基板上に構成することができる.今後,マイクロ波帯の小形・軽量化技術によるフィルタ,電力分配器,スイッチングなどの種々の受動回路素子はテラヘルツ帯の無線通信システムにおいても必要となることは明らかである.
誘電体フォトニック結晶(D-PhC)構造は,外部への放射を抑えるためにより多くの周期構造を構成する必要がある.テラヘルツ波領域では金属の電気伝導度が十分に高いため,小形化と金属損との兼ね合いにより,電磁波を閉じ込める材料としてマイクロ波周波数と同様に金属を電磁波回路に利用することが可能である.また,これまで提案されているテラヘルツ波帯で利用できる様々な導波路と組み合わせることにより,新しい電磁波回路の幅広い応用が考えられる.したがって,テラヘルツ帯での金属フォトニック結晶(M-PhC)構造の電磁波回路を研究することは意義あると考える(8)~(11).
未踏分野における新たな電磁波回路を効率的に開発・設計するために,電磁界シミュレーション技術は必要不可欠であり,本稿ではテラヘルツ帯M-PhC構造のバンドギャップの計算と電磁波回路をシミュレーションする際の留意点を検討するとともに,テラヘルツ帯M-PhC構造を用いた電磁波回路の設計事例を紹介する.
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