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電磁界シミュレーション技術の進展
小特集 3.
メタマテリアルの電磁界シミュレーション手法を用いた平板レンズの設計
Design of Split Ring Resonator Based Flat Lens Using Electromagnetic Simulation
abstract
近年,波長以下の単位セル構造を周期的に配置した人工周期構造体をある有効光学定数を有した媒質と捉え,その構造体デザインにより通常の物質では得られない値も含めて光学定数を設計可能なメタマテリアル技術が注目されている.特にミリ波テラヘルツ波帯においては回路内でのエネルギー損が大きいため,一度電磁波を空間に放出してからメタマテリアルで電磁波伝搬を制御する技術が期待されている.本稿では,メタマテリアルの単位セル構造である分割リング共振器を用いた平板レンズの設計を例に,メタマテリアルのような周期構造の電磁界シミュレーションに関して述べる.
キーワード:メタマテリアル,電磁界解析,分割リング共振器,平板レンズ
電磁波に対してその波長よりも十分に小さい構造を周期的に配置することで,実効的に負の屈折率を有する材料として振る舞うなど通常の物質では実現できない特性を得ることができる.このような人工周期構造体はメタマテリアルと呼ばれ,近年盛んに研究されている.
屈折率が負,つまり誘電率と透磁率が同時に負となる物質の電磁界応答は1968年にVeselagoにより理論的に考察された(1).その後,Pendryらにより1998年に負の誘電率を(2),1999年に負の透磁率を金属周期構造体のデザインにより実現できることが示された(3).具体的には,金属細線アレーを用いて実効的に金属のプラズマ周波数を低くすることにより,所望の負の誘電率を実現している.一方,負の透磁率は金属のリング構造にキャパシタの役割を果たす分割部(ギャップ)を設けた分割リング共振器(SRR: Split Ring Resonator)により実現された.ここでは,リングを貫く磁界成分を有した入射電磁波により周回電流を励起することで,LC共振周波数近傍において大きな磁気的応答を得ている.そして,2000年にSmithらが金属細線とSRRの複合系により負の屈折率現象を実証してから,メタマテリアルは盛んに研究されるようになり,今日まで急速な発展を遂げてきた(4).
また,上記のような共振系メタマテリアル以外にも,媒質中のマクスウェル方程式と伝送線路理論における電信方程式との類似性に着目し従来の右手系線路を左手系まで拡張した右手/左手系複合メタマテリアル等も提案されている.
本稿ではSRR等の共振系メタマテリアルをベースとした周期構造体を取り扱う.なお,右手/左手系複合メタマテリアルは文献(5)等を参照して頂きたい.
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