業績賞贈呈

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Vol.100 No.7 (2017/7) 目次へ

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 本会選奨規程第9条イ号(電子工学及び情報通信に関する新しい発明,理論,実験,手法などの基礎的研究で,その成果の学問分野への貢献が明確であるもの),ロ号(電子工学及び情報通信に関する新しい機器,または方式の開発,改良,国際標準化で,その効果が顕著であり,近年その業績が明確になったもの),ハ号(電子工学及び情報通信並びに関連する分野において長年にわたる教育の質向上に資する教育施策の遂行,教育の実践(教育法,教材等の開発を含む),著述及びその普及を通じて,人材育成への貢献が明確になったもの)による業績に対し,下記の7件を選び贈呈した.

エラスティック光ネットワーク技術の先駆的研究

神野正彦

 情報社会の進展とともにインターネットのトラヒック量は継続的に増加している.一方,これまでインターネットの進展を支えてきた光ファイバ通信における伝送容量(あるいは周波数利用効率)は非線形シャノンリミット(非線形光学効果による光ファイバ伝送容量の物理的上限)に近付きつつあり,近い将来光通信ネットワークの容量不足がインターネットの継続的な発展のボトルネックとなることが予測される(1).このような状況の下,受賞者は(2)2009年9月にウィーンで開催された第35回欧州光通信国際会議にて,顕在化してきた伝送容量増加のペースダウンを補い,引き続き増加するインターネットトラヒックを経済的に収容するためには,光ネットワーク資源を無駄なく利用する高効率ネットワーキング技術の開発が重要であることを強調するとともに,その実現手段として受賞者らが2008年に提案したエラスティック光ネットワーク(3)技術の有効性を示した.同技術はその後の光ネットワーク分野の研究開発において,重要な方向を与えることとなった.

 従来の光ネットワークでは,光チャネル容量や伝送距離にかかわらず,光チャネルを固定周波数グリッド上に一定間隔に配置する(図1(a))のに対し,受賞者が提案したエラスティック光ネットワークでは,光チャネル容量や伝送距離に応じて必要かつ十分な光周波数帯域を適応的に割り当て(4)(図1(b)),帯域が可変なOXC/ROADM(Optical Cross-connect/Reconfigurable Optical Add Drop Multiplexer)を用いて光領域でルーチングする.これにより,光ネットワークのスペクトル資源を効率的に使用し,光チャネル速度が100Gbit/sを超える将来の大容量ネットワークを柔軟かつ経済的に実現することが可能になると期待されている.受賞者はエラスティック光ネットワークの基本概念を世界に先駆けて提案するとともに,帯域可変OXC/ROADMや帯域・変調方式可変トランスポンダ(4),光パス経路計算並びにスペクトル割当アルゴリズム(5)等の実現技術の研究・開発を積極的に推進し,光ネットワーク分野の研究に新たな領域を生み出した.受賞者による概念提案以後,同分野において数多くの論文が発表された.受賞者が名付けた“Elastic Optical Network”や“Routing and Spectrum Assignment”等の概念は学術用語として定着し幅広く用いられている.

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 受賞者が提案したエラスティック光ネットワークは,学術領域にとどまらず産業的にもその重要性は認識され,世界中で活発な研究開発が行われている.また同技術に関する国際標準化はITU-T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)にて精力的に進められ,受賞者らが提案した方式を発展させ,2012年に適応光スペクトル資源割当を可能にするフレキシブルグリッドが勧告化された(G. 694.1).更に2016年には,100Gbit/s超光チャネルのフレームフォーマット規定OTUCnが,G. 709勧告に追加された.

 以上のように,受賞者はエラスティック光ネットワークの基本概念を世界に先駆けて提唱し,その後の関連分野研究の大きな潮流を創出した.初期の概念提案を含む受賞者の論文の引用件数は,主要な論文(4),(5),(8)に限っても極めて多数である.また,受賞者はこれらの成果により,ITU-T Kaleidoscope Academic Conference Best Paper Award(2010年),IEEE ComSoc Asia-Pacific Board Outstanding Paper Award(2013年),本会通信ソサイエティチュートリアル論文賞(2010年),Best Paper Award(2011年)を受賞し,本会からフェローの称号も授与されている.このように受賞者の光ネットワーク技術分野における業績は極めて顕著であり,本会業績賞にふさわしいものである.

文     献

(1) A. Chraplyvy, “The coming capacity crunch,” Proc. 35th European Conference on Optical Communication, Vienna, Austria, 2009.

(2) M. Jinno, H. Takara, and B. Kozicki, “Dynamic optical mesh networks: drivers, challenges and solutions for the future,” Proc. 35th European Conference on Optical Communication, no.7.7.4, Vienna, Austria, 2009.

(3) M. Jinno, H. Takara, B. Kozicki, Y. Tsukishima, T. Yoshimatsu, T. Kobayashi, Y. Miyamoto, K. Yonenaga, A. Takada, O. Ishida, and S. Matsuoka, “Demonstration of novel spectrum-efficient elastic optical path network with per-channel variable capacity of 40Gb/s to over 400Gb/s,” 34th European Conference on Optical Communication, no.th.3.F.6, Brussels, Belgium, 2008.

(4) M. Jinno, H. Takara, B. Kozicki, Y. Tsukishima, Y. Sone, and S. Matsuoka, “Spectrum-efficient and scalable elastic optical path network: Architecture, benefits, and enabling technologies,” IEEE Commun. Mag., vol.47, no.11, pp.66-73, 2009.

(5) M. Jinno, B. Kozicki, H. Takara, A. Watanabe, Y. Sone, T. Tanaka, and A. Hirano, “Distance-adaptive spectrum resource allocation in spectrum-sliced elastic optical path network (SLICE),” IEEE Commun. Mag., vol.48, no.8, pp.138-145, 2010.

(6) M. Jinno, T. Ohara, Y. Sone, A. Hirano, O. Ishida, and M. Tomizawa, “Introducing elasticity and adaptation into the optical domain toward more efficient and scalable optical transport networks,” Proc. ITU-T Kaleidoscope Academic Conference, no.S2.2, Pune, India, 2010.

(7) M. Jinno, H. Takara, Y. Sone, K. Yonenaga, and A. Hirano, “Multi-flow optical transponder for efficient multi-layer optical networking,” IEEE Commun. Mag., vol.50, no.5, pp.56-65, 2012.

(8) O. Gerstel, M. Jinno, A. Lord, and S.J.B. Yoo, “Elastic optical networking: a new dawn for the optical layer,” IEEE Commun. Mag., vol.50, no.2, pp.S12-S20, 2012.

(9) M. Jinno, H. Takara, K. Yonenaga, and A. Hirano, “Virtualization in optical networks from network level to hardware level[invited],” Journal of Optical Communications and Networking, vol.5, no.10, pp.A46-A56, 2013.

(10) M. Jinno, “Elastic optical networking: Roles and benefits in beyond 100-Gb/s era,” J. Lightwave Technol., vol.35, no.5, pp.1116-1124, 2017.

区切

音や映像の変化に対する高度な耐性を備えた高速メディア探索技術の研究

柏野邦夫永野秀尚黒住隆行

 近年,膨大な量の音や映像の収集,蓄積,流通が可能になっている.この有効活用のため,必ずしもメタデータのみには依存せず,コンテンツ自体に含まれる情報を抽出し,情報の検索や活用に供するための技術が重要である.その基本となる技術の一つは,事前に蓄積された情報,すなわち辞書との照合による信号解析である.しかし,従来は,音や映像に対してその内容に基づいて高速に照合,探索を行う技術の有効性は限られていた.特に,テキストの照合や探索に比べ,音や映像のデータの特性として,雑音,ひずみ,編集,加工などによってデータが容易に変化,変質することが,実用的な探索精度を実現する上での大きな問題であった.

 この問題に対し,受賞者らは,雑音,ひずみ,編集,加工などによって著しく変化,変質した音響信号や映像に対して,極めて頑健な探索を可能にする方法を考案した.ロバストメディア探索技術(RMS: Robust Media Search)と呼ばれるその方法は,①対象とする音響信号や映像における時空間的な局所領域に着目し,領域ごとにその特徴を粗量子化(2段階~数段階に数値化)した数値で表現すること,②その特徴表現の時空間的配置の整合性を利用して当該箇所における目的信号の存否を判定すること,を特徴とする.

 これらは現在では広く用いられている一般的な手法と言えるが,本技術の基本原理が考案された2000年代初頭においてはユニークな着想であった.当時,音や映像の探索においては各時刻の信号全体から導かれた特徴を用いるのが通例であり,上記①,②のアイデアや,音響信号に対して局所領域特徴を抽出して利用することの有効性は未開拓であった.

 上記の提案と,その後に積み重ねられた技術的工夫とによって,現在では音や映像に対して極めて頑健かつ高速な探索が実現されている.例えば,PC1台で数万時間分の信号(特徴)が蓄積されたデータベースを1秒未満で探索したり,SN比マイナス20dBに相当するごく小音量の背景音楽を高精度に特定することなどが可能である.

 現在,社会的要請もあり,本技術は幅広い領域で活用されている.例えば,著作権関連の応用では,短時間の使用や背景音楽としての使用も含めて,放送番組で使用された全楽曲の使用リストを作成し,権利者への使用料分配の基礎データとして利用することが行われている.本技術により,放送音と楽曲データベースとの照合に基づいて楽曲使用の自動把握が可能となったことで,著作権処理が従来に比べ大幅に効率化された.また,動画投稿サイトにおいて,違法投稿の検知などの目的でも本技術が用いられている.更に,スマートフォンなどでとらえた身の回りの音や映像を基にインターネット上の情報にアクセスすることなども可能となっている.

 以上述べたように,受賞者らの先駆的な業績は,音や映像メディアの制作,流通,視聴,活用,調査の各場面や,身の回りの音や映像による情報検索などの分野で重要な貢献をなしており,本業績賞にふさわしいものである.

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文     献

(1) 永野秀尚,柏野邦夫,村瀬 洋,“多数の小領域スペクトログラムの探索に基づく背景音楽の高速探索法,”信学論(D),vol.J87-D-II, no.5, pp.1179-1188, May 2004.

(2) 黒住隆行,永野秀尚,柏野邦夫,“実環境で収録された映像断片をキーとする一致映像探索,”信学論(D),vol.J90-D, no.8, pp.2223-2231, Aug. 2007.

(3) K. Kashino, A. Kimura, H. Nagano, and T. Kurozumi, “Robust search methods for music signals based on simple representation,” Proc. ICASSP, pp.1421-1424, 2007.

(4) 柏野邦夫,“音響指紋技術とその応用,”音響誌,vol.66, no.2, pp.71-76, 2010.

(5) 柏野邦夫,黒住隆行,向井 良,“メディアコンテンツ特定技術の最新動向,”信学誌,vol.93, no.4, pp.340-342, April 2010.

(6) R. Mukai, T. Kurozumi, T. Kawanishi, H. Nagano, and K. Kashino, “Robust media search technology for content-based audio and video identification,” E-Letter of Multimedia Communications Technical Committee, IEEE Communications Society, vol.7, no.7, pp.13-16, 2012.

区切

音響信号のブラインド音源分離に関する先駆的研究

牧野昭二猿渡 洋澤田 宏

 音声などの音響メディアは,人間にとって最も使いやすいコミュニケーション手段の一つであり,誰もが双方向で使用できるという普遍性を有する.そのため,音響信号処理は,従来からテレビ会議システム,高品質な携帯電話,音声認識・情報検索・言語翻訳,音声対話ロボット等のマン・マシンインタフェース分野において重要な研究テーマであり,様々な産業応用が期待されている.しかし,実環境においては,目的のユーザ音声だけでなく雑多な干渉音や背景雑音等が同時に観測され,出力音声の大幅な品質劣化を招くことが知られている.これを解決するため,柔軟かつ実用的な統計的音響信号処理理論が望まれていた.

 独立成分分析(ICA)に基づくブラインド音源分離(BSS)の研究(図1)は,理論的広がりの大きさとアプリケーションへの可能性の広さから脚光を浴びていた.しかし,室内で残響が付加され混合された音を分離する技術は,畳込み混合の問題であり難しく,受賞者らが研究を開始した2000年当時,世界的に見ても検討が始まったばかりであった.

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 独立成分分析に基づくブラインド音源分離は,音環境やマイク位置等の事前情報を一切使用せず(ゆえに「ブラインド処理」と呼ばれる),個々の音源信号を逆推定する理論であり,人間が無意識のうちに脳で聞き分ける能力を情報処理で模擬したものであると言われている.また,産業的な側面から言うと,製造誤差の多いマイク素子群を自由に配列しても(理論上は)性能が劣化しないという独立成分分析の性質は,大変魅力的なものである.しかし一方で,独立成分分析は単なる数理最適化理論の一つにすぎず,その挙動を解析的かつ実証的に解明したものは見当たらなかった.そのため,統計的・数学的にしか論じられてこなかった独立成分分析及びブラインド音源分離は,物理的・音響的にはある種のブラックボックスであり,その中で何が行われているのか,何がどこまで分離できるのかが余り分かっていなかった.

 受賞者らは,高次統計量を基礎とした教師なし学習理論である独立成分分析に基づくブラインド音源分離の動作メカニズムを音響学の観点から分析し,その動作原理が,従来から研究されてきた適応ビームフォーマと呼ばれるマイクロホンアレーの並列同時学習と等価であることを世界で初めて明らかにした.この動作原理の解明により,適応ビームフォーマで培われた様々な音響信号処理技術を音源分離技術に援用することが可能となり,その結果,ブラインド音源分離技術の分離性能を大幅に向上させることに成功した.特筆すべきことは,2007年IEEE機械学習信号処理国際会議(MLSP)の世界音源分離コンテストにて線形・非線形部門共に優勝した点である.これにより,本分野において,受賞者らを代表とする日本の研究グループが世界の最先端を走り,世界一の実力を持つことが証明された.その後も当該分野の世界的な研究を先導し,新しい研究分野を築いた.この成果は汎用DSPや汎用PC上へ世界で初めて実装された(図2(a),(b)).更に,世界初のリアルタイムポケットサイズ音源分離マイクの実用化に結び付き,2008年には警察備品に採用された(図2(c)).近年では内閣府ImPACTタフロボティクスチャレンジにおいて,災害救助用蛇型ロボットの音響センサとして採用されている(図2(d)).

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 これらの成果は,文部科学大臣表彰科学技術賞(2015),市村学術賞(2013),ドコモモバイルサイエンス賞(2011),ICA Unsupervised Learning Pioneer Award(2006),IEEE Fellow(2004),本会フェロー(2007,牧野昭二君)など,高く評価されており,その業績は極めて顕著であり,本会業績賞にふさわしいものである.

文     献

(1) S. Araki, R. Mukai, S. Makino, T. Nishikawa, and H. Saruwatari, “The fundamental limitation of frequency domain blind source separation for convolutive mixtures of speech,” IEEE Trans. Speech Audio Process., vol.11, no.2, pp.109-116, 2003.

(2) S. Araki, S. Makino, Y. Hinamoto, R. Mukai, T. Nishikawa, and H. Saruwatari, “Equivalence between frequency domain blind source separation and frequency domain adaptive beamforming for convolutive mixtures,” EURASIP J. Appl. Signal Process., vol.2003, no.11, pp.1157-1166, 2003.

(3) H. Sawada, R. Mukai, S. Araki, and S. Makino, “A robust and precise method for solving the permutation problem of frequency-domain blind source separation,” IEEE Trans. Speech Audio Process., vol.12, no.5, pp.530-538, 2004.

(4) H. Saruwatari, T. Kawamura, T. Nishikawa, A. Lee, and K. Shikano, “Blind source separation based on a fast-convergence algorithm combining ICA and beamforming,” IEEE Trans. Speech Audio Process., vol.14, no.2, pp.666-678, 2006.

(5) Y. Mori, H. Saruwatari, T. Takatani, S. Ukai, K. Shikano, T. Hiekata, Y. Ikeda, H. Hashimoto, and T. Morita, “Blind separation of acoustic signals combining SIMO-model-based independent component analysis and binary masking,” EURASIP J. Appl. Signal Process., vol.2006, Article ID 34970, 2006.

(6) S. Araki, H. Sawada, R. Mukai, and S. Makino, “Underdetermined blind sparse source separation for arbitrarily arranged multiple sensors,” Signal Process., vol.87, no.8, pp.1833-1847, Aug. 2007.

(7) H. Sawada, S. Araki, R. Mukai, and S. Makino, “Grouping separated frequency components by estimating propagation model parameters in frequency-domain blind source separation,” IEEE Trans. Audio, Speech and Language Processing, vol.15, no.5, pp.1592-1604, 2007.

(8) Y. Takahashi, T. Takatani, K. Osako, H. Saruwatari, and K. Shikano, “Blind spatial subtraction array for speech enhancement in noisy environment,” IEEE Trans. Audio, Speech and Language Processing, vol.17, no.4, pp.650-664, 2009.

(9) H. Sawada, S. Araki, and S. Makino, “Underdetermined convolutive blind source separation via frequency bin-wise clustering and permutation alignment,” IEEE Trans. Audio, Speech and Language Processing, vol.19, no.3, pp.516-527, 2011.

(10) R. Miyazaki, H. Saruwatari, T. Inoue, Y. Takahashi, K. Shikano, and K. Kondo, “Musical-noise-free speech enhancement based on optimized iterative spectral subtraction,” IEEE Trans. Audio, Speech and Language Processing, vol.20, no.7, pp.2080-2094, 2012.

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3.5GHz帯TD-LTEサービスの実用化

河原敏朗渡邊靖之二方敏之

 年々増大する移動通信トラヒック需要に対応するためには,2014年12月に新規にTD-LTE方式用として割り当てられた3.5GHz帯を効果的に展開する必要がある.3.5GHz帯は帯域幅が広く,下りの割当スロットを増やすことでダウンリンクの高速・大容量伝送を実現するのに有効な周波数であり,特にスモールセルで展開した場合は単位面積当りの大容量化が期待できる.しかし,従来の移動通信で使用されていた周波数よりも高い周波数帯であるため伝搬損が大きく,既存の周波数帯のように広いエリアをカバーするには設備投資面で課題があり,新たに効率的かつ効果的な展開方法を実現する必要があった.

 受賞者らは上記課題を解決するため,図1に示すように,2015年に実用化した高度化C-RAN(Centralized Radio Access Network)アーキテクチャの特徴を生かして,3.5GHzのセルと既存のFDD周波数を組み合わせ,アップリンクに既存のFDD周波数を使用することで3.5GHz TDDの課題である上りのリンクバジェットから来るエリア縮小を回避すると同時に,上りスロット比率が低い場合でもFDDの周波数を用いることで上りの低スループット化も解決した.またダウンリンクには既存のFDD周波数と3.5GHz TDDのCA(Carrier Aggregation)を行うことで高速・大容量化を実現した.更に,既存のFDD周波数によるマクロセルエリアで接続性を保つことにより,3.5GHzのスモールセルエリアに出入りした際もハンドオーバを発生させることなく,安定した品質の高速通信サービスの提供を可能とした.

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 受賞者らは3.5GHz帯に関わる仕様やFDD-TDDのCAに関わる仕様を3GPP標準仕様として早期に規定するために,CA時のフィードバック信号の送り方など多数の技術的な提案を行い標準規格として採用され,仕様完成に貢献した.また,3.5GHz帯はこれまで移動通信では利用されていない新規の周波数帯であったため,従来の移動通信端末で使用していたRFデバイス(高周波数フィルタ)が使用できないという課題があった.受賞者らはこの課題に対し,コスト・サイズ・導入時期などの実用化の観点を踏まえ,3.5GHzに最適なフィルタ技術を絞り込み,本フィルタ技術を適用した場合の無線特性仕様を3GPP標準化へ提案,規格化を行うなど3.5GHz帯TD-LTE方式に関わる標準仕様全般の早期完成に貢献した.

 受賞者らは,実用化にも貢献しており,3.5GHz帯TD-LTEを活用した国内初のFDD-TDD CAによる受信時最大370Mbit/sの高速通信を実現するLTE-Advancedサービスの提供を開始(2016年6月)している.サービスエリアは2016年12月末で政令指定都市をはじめとした104都市に展開,2017年5月末には約250都市に拡大され,モバイルネットワークを用いたリッチコンテンツの利用が更に促進されるなど新たな市場の拡大が期待され,本実用化による移動通信業界への貢献は大きく,受賞者らの功績は極めて顕著であり,本会業績賞にふさわしいものである.

文     献

(1) 吉田 翔,吉原龍彦,川合裕之,井原泰介,瀧口貴啓,柳生健吾,“スモールセルにおけるアンテナビームチルトの容量増加効果,”信学技報,AP 2014-47, pp.41-46, June 2014.

(2) 新 博行,梅田大將,安部田貞行,“3.5GHz帯TD-LTE導入に関するドコモの技術開発の取組み,”NTT DOCOMOテクニカルジャーナル,vol.24, no.2, pp.4-7, July 2016.

(3) 藤井昌宏,諏訪真悟,鳥羽倫太郎,戸枝輝朗,“3.5GHz帯TD-LTE導入に向けた基地局装置の開発,”NTT DOCOMOテクニカルジャーナル,vol.24, no.2, pp.8-13, July 2016.

(4) 吉原龍彦,川合裕之,吉田 翔,川村輝雄,“3.5GHz帯導入に向けた基地局アンテナの開発,”NTT DOCOMOテクニカルジャーナル,vol.24 no.2. pp.14-17, July 2016.

(5) 横手慎一,西村弦大,杉本寛利,“3.5GHz帯TD-LTE導入に向けた高精度時刻同期ネットワーク装置の開発,”NTT DOCOMOテクニカルジャーナル,vol.24, no.2, pp.18-26, July 2016.

(6) 大澤良介,小原知也,安藤 桂,松浦友哉,“3.5GHz帯TD-LTEに対応した移動端末の開発,”NTT DOCOMOテクニカルジャーナル,vol.24, no.2, pp.27-31, July 2016.

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MPEG-2/H. 264/H. 265コーデックの開発と実用化への貢献

新田高庸中村 健大西隆之

 映像符号化技術の発展に伴い,放送番組のディジタル化が世界各国で進められており,更に,通信・放送連携によりユーザエクスペリエンスの高度化が望まれていた.受賞者らは,図1に示すように,地上デジタル放送の展開,IP再放送の実用化,更には,8K試験放送など,一連の通信・放送連携を支える技術として,MPEG-2からH. 264,H. 265へと進展した映像符号化技術を活用した映像コーデックLSI及び装置の実用化を推進してきた.

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 MPEG-2映像符号化LSI(VASA)は,2003年12月の地上デジタルテレビ放送開始に向け,日本の放送番組を支える素材伝送ネットワークであるテレビ中継網のキー技術として開発された.当時,MPEG-2 HDTV符号化/復号処理の1チップ化は,世界でも開発例がなく,2003年の日本の地上デジタル放送開始に大きく寄与した.地上デジタルテレビ放送が開始されて10年以上が経過し,日本では順調にアナログからディジタルへの移行も進み,更に,海外のメーカにも本技術が採用されるなど,長期にわたり,世界の産業界に貢献してきた.

 H. 264映像符号化LSI(SARA)では,放送品質を保持したままMPEG-2をH. 264にトランスコード可能な技術を開発することで,ネットワーク上での地上デジタル放送のIP再放送の普及に大きく貢献した.具体的には,IP再放送において,放送局が規定した厳しいガイドライン基準(2秒以下の低遅延によるリアルタイム処理と,主観評価による画像品質基準)をクリアしたMPEG-2/H. 264トランスコーダ装置を開発した.優良コンテンツである地上デジタル放送を劣化なしに,ネットワーク配信することも一助となり,IP放送サービスの加入数は,現在,300万を超えている.

 更に,今後の主流として期待される8K放送の実現においては,より圧縮率の高いH. 265方式による符号化の実現が不可欠であるが,処理チップの性能限界を補うために,マルチチップ並列エンコード制御技術を確立し,世界初の8K試験放送開始に大きく寄与した.動きベクトルの統計処理によりアダプティブに探索精度と探索位置を切り換えられる探索アルゴリズムなどにより,H. 265の圧縮性能を十分に引き出す1チップ4K H. 265エンコーダLSI(NARA)を開発するとともに,NARAを並列に動作させることで,放送の運用規格であるARIBに準拠した8K/60P符号化を実現した.並列化による画質劣化を低減させるために,チップ間で参照画像データを転送可能な高速なチップ間データ転送も確立した.H. 265方式により4K IP放送開始を実現し,8K試験放送開始と併せて,通信・放送の将来の具現化に大きく貢献した.

 このように,受賞者らが,15年を超えて蓄積してきた業績により,高品質・高精細な映像サービスを広く社会に提供することが可能となり,人々の暮らしだけでなく,産業界に与えた影響も非常に大きい.8K放送は,本技術を基盤として,今後,通信・放送連携を推進するサービスに発展していくことが期待される.

文     献

(1) K. Nitta, T. Minami, T. Kondo, and T. Ogura, “Motion estimation and compensation hardware architecture for a scene-adaptive algorithm on a single-chip MPEG-2 video encoder,” IEICE Trans. Inf. & Syst., vol.E84-D, no.3, pp.317-325, March 2001.

(2) K. Nakamura, M. Ikeda, T. Yoshitome, and T. Ogura, “Global rate control scheme for MPEG-2 HDTV parallel encoding system,” Proc. Int’l Conference on Information Technology: Coding and Computing 2000, IEEE CS, pp.195-200. March 2000.

(3) 新田高庸,吉留 健,近藤利夫,岩崎裕江,長沼次郎,“MPEG-2ビデオ符号化LSIにおけるSIMD型マクロブロックプロセッサの改良,”信学論(C), vol.J87-C, no.4, pp.377-385, April 2004.

(4) J. Naganuma, H, Iwasaki, K. Nitta, K. Nakamura, T. Yoshitome, M. Ogura, Y. Nakajima, Y. Tashiro, T. Onishi, M. Ikeda, and M. Endo, “VASA: Single-chip MPEG-2 422P@HL CODEC LSI with multi-chip configuration for large scale processing beyond HDTV level,” Hot Chips 14, Aug. 2002.

(5) T. Onishi, K. Nakamura, T. Yoshitome, and J. Naganuma, “A distributed stream multiplexing architecture for multi-chip configuration beyond HDTV,” IEICE Trans, Inf. & Syst., vol.E91-D, no.12, pp.2862-2867, Dec. 2008.

(6) 大西隆之,新田高庸,佐野 卓,岩崎裕江,池田充郎,長沼次郎,上倉一人,“放送業界用H. 264/AVCエンコーダLSIにおける動き検出・動き補償部の構成法,”信学論(D), vol.J93-D, no.10, pp.2148-2155, Oct. 2010.

(7) K. Nitta, H. Iwasaki, T. Onishi, T. Sano, A. Sagata, Y. Nakajima, M. Inamori, R. Tanida, A. Shimizu, K. Nakamura, M. Ikeda, and J. Naganuma, “An H. 264/AVC high422 profile and MPEG-2 422 profile encoder LSI for HDTV broadcasting infrastructures,” IEICE Trans. Electron., vol.E95-C, no.4, pp.432-440, April 2012.

(8) M. Ikeda, H. Iwasaki, K. Nitta, T. Onishi, T. Sano, A. Sagata, Y. Nakajima, M. Inamori, T. Yoshitome, H. Matsuda, R. Tanida, A. Shimizu, K. Nakamura, and J. Naganuma, “Professional H. 264/AVC CODEC chip-set for high-quality HDTV broadcast infrastructure and high-end flexible CODEC systems,” Hot Chips 19, Aug. 2007.

(9) T. Onishi, T. Sano, Y. Nishida, K. Yokohari, J. Su, K. Nakamura, K. Nitta, K. Kawashima, J. Okakamoto, N. Ono, R. Kusaba, A. Sagata, H. Iwasaki, M. Ikeda, and A. Shimizu, “Single-chip 4K 60fps 4:2:2 HEVC video encoder LSI with 8K scalability,” Proc. 2015 IEEE Symposium on VLSI Circuits, pp.54-55, June 2015.

(10) H. Iwasaki, T. Onishi, K. Nakamura, K. Nitta, T. Sano, Y. Nishida, K. Yokohari, J. Su, N. Ono, R. Kusaba, A. Sagata, M. Ikeda, and A. Shimizu, “Professional H.265/HEVC encoder LSI toward high-quality 4K/8K broadcast infrastructure, ,” Hot Chips 27, Aug. 2015.

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エネルギー効率の優れた独自スーパーコンピュータの開発

木村耕行鳥居 淳齊藤元章

 近年,スーパコンピュータの性能を律速するのは,消費電力と設置面積であると言っても過言ではない.そのような中で,受賞者らは,高密度で高効率なスーパコンピュータを,プロセッサレベルからシステム,冷却機構に至るまで,全てを独自開発にこだわった研究開発を遂行し,実現した.そのスーパコンピュータZettaScalerシリーズの中核を成すのが,1,024ものコアを1チップに集積したメニーコアプロセッサPEZY-SCである(図1).PEZY-SCの各コアは高効率,高集積度の実現のため,独自の命令セットアーキテクチャ,細粒度のマルチスレッド処理を採用し,小さいながらも2命令の同時処理を実現している.これらのコアは各々独立して動作可能なMIMD(Multiple Instruction stream Multiple Data stream)型のアーキテクチャとなっており,近年,スーパコンピュータの分野でも活用されているGPU(Graphic Processing Unit)とは大きく異なっており,プログラミングの容易性と適用範囲の拡大を図っている.

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 さて,2014年に開発されたZettaScaler-1.0 Suirenは32ノード,256個のPEZY-SCプロセッサを採用したシステムとして,11月のスパコン省エネランキングGreen500において,いきなり2位を獲得した.ここで,冷却技術として,コンピュータ全体を直接,浸漬する液浸冷却システムを半年弱という短期間で開発している.システム全体を絶縁性の高いふっ化炭素の冷媒に直接浸し,熱伝導によって発熱体の熱を奪い,熱交換器との間で冷媒を強制循環して,冷却を実現している.これにより,冷却効率の向上だけではなく,システム全体の安定動作,半導体の漏れ電流の削減という効果と,空冷に比べても現実的なメンテナンス容易性を実現した.

 ZettaScaler-1.0では,開発時間の制約から,既存の商用ラックマウントのサーバを液浸用に改造してシステムを構築していた.しかし,これらは元来空冷を前提としており,液浸の高い冷却能力を生かすことができなった.そこで,受賞者らは,2015年に,液浸冷却に最適化したBrickと呼ばれるサーバを開発,ZettaScaler-1.5として具現化した.このサーバを五つの液浸槽に合計80本搭載したShoubu(菖蒲,図2)は,2015年春のGreen500において1位と認定され,その後3期にわたって連続してその位置を保ち続けた.その間,実性能の改善も進められ,2016年の春には1PFLOPS(1秒間に実行する浮動小数点命令数)を超えるスーパコンピュータとして初めて1位を獲得したことになり,一定性能を持った高性能スーパコンピュータが,電力効率でも優れた値を実現できることを示した.

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 このように,ベンチャー企業の限られたリソースの中で,継続的かつ矢継ぎ早にシステムの改良と開発を進めており,国産にこだわり,先進的な技術開発を推進する姿勢は,日本の半導体産業,電機業界に対して大きな希望を与えたと言え,業績賞にふさわしい成果と言える.受賞者らの企業グループは,本年,2世代目スーパコンピュータ用プロセッサPEZY-SC2と,専用のDRAMを開発し,新しいシステムの構築にまい進しているとのことで,今後の動きにも目が離せない.

文     献

(1) S. Torii, “ExaScaler-1: The power-efficient submersion many-core processor based supercomputer,” COOL chips-XVIII, 2015.

(2) 石川 仁,“ZettaScaler/PEZY-SCの紹介および今後の方向性,”ATTA2016, http://atrg.jp/ja/index.php?ATTA2016

(3) 齊藤元章,“Exa級の高性能機を目指し,半導体・冷却・接続を刷新(上)/(下),”日経エレクトロニクス, pp.99-105/pp.69-75, June/Aug. 2015.

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情報通信技術を活用した教育システム多様化への貢献

清水康敬

 情報通信技術を活用して,教育における時空間的な制約を取り除くとともに,学習目標に適合した効果的な方法を開発することは,教育工学の代表的な研究分野である(1).受賞者は,教育工学に関する研究において卓越した構想力と強力なリーダーシップを発揮され,多様な情報通信技術を活用する教育システム並びに制度,運用方法の確立に関する研究と実践を推進してこられた.

 1970年代から,電話,マイクロ波,光ファイバ,衛星通信など,通信技術を用いて空間的制約に対応する遠隔教育システムを開発した(2)(4).特に,従来の対面型学習よりも効果的な指導方法を開発し,実証した.更に,日本全国に遠隔教育を展開するために,2000年頃には,衛星通信技術を活用した遠隔教育システム,すなわち,初等中等教育(el-Net)(5)と大学教育(SCS, ANDES)(6)によって教育機関をネットワーク化した.これらの遠隔教育や遠隔シンポジウムは国際間でも定期的に実施された.例えば,ANDESが設置された東京工業大学では,タイやフィリピンの大学に向けて,国際間遠隔教育を定常的に実施し,現在もインターネット利用で継続している.

 研修やシンポジウムでは遠隔教育が活用された一方,単位取得を伴う正規授業では,遠隔教育の利用は認められていなかった.従来からの通信教育においても面接授業での単位取得が義務付けられていた.これは,教育水準,教育の質保証が求められるためである.前述のように,受賞者による遠隔教育でも通常の対面授業よりも教育効果が高くなる実証の積み重ねによる評価から,1998年3月に大学設置基準及び大学院設置基準が改訂され,遠隔授業が正規の授業方法の一つとして認められるに至った(5).また,遠隔教育におけるもう一つの大きな問題は,教材などの著作物を遠隔教室に公衆送信できなかったことである(7).受賞者は,文部省(当時)の調査研究協力者会議の主査として,この問題を解決するために著作権法の改正を提案し,2004年の改正に尽力した(1).遠隔教育の普及は,その後,インターネット利用に移行しているが,2000年頃の遠隔教育に関する研究開発と法整備が大きく寄与している.

 情報通信技術の普及や発展には,技術開発だけでなく,社会の受容や活用も不可欠である.受賞者は教育の情報化の推進にも大きく貢献されてきた.教育の情報化は,情報活用能力の育成,教科指導における情報通信技術の活用,校務の情報化から構成される(1).教育用コンピュータの整備は1985年から進められたが,具体的な教育目標の設定が必要であった.受賞者は,1996年に文部省(当時)が設置した協力者会議で主査として,情報教育のあり方をまとめ,学習指導要領の改定に尽力された(8).インターネット利用が社会に浸透し始めた時期に,情報教育を推進したことは社会的にも意義が大きい.更に,ネットワーク環境や利用機器の高度化は,教育学習環境だけでなく,学習の多様化にも大きな影響を及ぼしている(9),(10).情報通信技術の発展は,教育においても,更なる可能性を発揮すると期待される.

 このように,受賞者は情報通信技術を活用した多様な教育システムを普及させるため,研究開発を推進し,その利益を享受できるようにするための制度改革や法整備にまで尽力されてきた.受賞者の業績は技術的に高く評価されるだけでなく,我が国における教育の情報化推進に多大な貢献があったと認められる.これらの業績は極めて顕著であり,本会業績賞にふさわしいものである.

文     献

(1) 清水康敬,“教育工学50年の歩み,”信学誌,vol.98, no.12, pp.1091-1099, Dec. 2015.

(2) 清水康敬,前迫孝憲,“キャンパス間を結ぶテレビ講義の評価,”信学論(A),vol.J69-A, no.10, pp.1181-1189, Oct. 1986.

(3) 清水康敬,“通信衛星を利用した社会人技術者リフレッシュ教育実験,”信学誌,vol.76, no.7, pp.767-770, July 1993.

(4) 宇井 修,中山 実,清水康敬,“衛星通信講座における講義形態と学習者評価の関係,”信学論(D-Ⅱ),vol.J80-D-Ⅱ, no.4, pp.892-899, April 1997.

(5) (財)衛星通信教育振興協会,衛星通信教育の歩み,2012.

(6) 田中健二,近藤喜美夫,“大学間衛星ネットワーク (スペース・コラボレーション・システム) の構成,”信学論(D-I),vol.J82-D-I, no.4, pp.581-588, April 1999.

(7) 文部省,コンピュータ,インターネット等を活用した著作物の教育利用について(報告),pp.1-16, 平成12年.

(8) 文部省,体系的な情報教育の実施にむけて―情報化の進展に対応した初等中等教育における情報教育の推進に関する調査研究協力者会議第1次報告―,pp.1-38, Oct. 平成9年.

(9) 文部科学省,教育の情報化に関する手引,pp.1-236,平成22年.

(10) 清水康敬,“1人1台端末の学習環境の動向と研究,”日本教育工学会論文誌,vol.38, no.3, pp.183-192, Dec. 2014.

区切


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