小特集 テクノロジーが創る快適 編集にあたって

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Vol.100 No.7 (2017/7) 目次へ

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小特集

テクノロジーが創る快適

小特集編集にあたって

編集チームリーダー 清水芳孝
サブリーダー 中平勝也

 近年,政府も民間企業も「働き方変革」を掲げ,仕事と生活をバランス良く両立することが強く求められる時代になりつつあり,日本人の働き方に対する価値観,考え方は大きく様変わりしてきています.このような時代においては,働きやすさに加えて,生活の質を上げる,すなわち,人の生活をより快適なものにすることが求められており,近年,生活にテクノロジーを密接に融合することにより,人の生活をより良く,より快適なものにする取組みが盛んに行われています.

 本小特集では,人の生活で最も中心となる,“住”環境を取り上げ,人が生き生きと快適に暮らせるための住とテクノロジーの融合に着目し,居住空間そのもの,室内での人の生活支援,リフレッシュという三つの観点から解説しています.

 快適性に影響を与える要因としては,温熱環境,光環境,音響環境,色彩環境,及び,人の体調や精神状態等があります.本小特集では,人が温熱的に快適と感じる住まい,人の体調や精神状態を映す鏡,人が心地良いと感じる音響環境を実現する音響機器に着目します.

 住まいの室内環境では,温熱環境が快適性や空調エネルギー消費の面で大きな影響を持ち,快適性と省エネ性を両立できるゼロエネルギーハウスの実現が求められています.そこで,第1章では,「住まいの快適性とエネルギー」と題して,居住空間に関して建築の分野からの快適性とエネルギーマネージメントに関する技術と取組み,更に情報通信分野に求めるテクノロジーについて分かりやすく解説しています.

 第2章では,家電のIoT化が進む中,人は能動的に家電等の機器のスイッチをオンオフすることで居住空間の快適性を制御しています.この人を起点としたインタフェースに着目し,「鏡がつなぐIoTと近未来の暮らし」と題して,人を起点としたスイッチのオンオフに代わるインタフェースの一例として,生活動線に必ずある鏡に着目し,これまでの生活動線を変えることなくディジタル化されたインタラクティブな鏡を起点に家の中の機器が自動的にあるいは簡単な操作だけで効率的に制御される近未来の暮らしについて紹介しています.

 最後の第3章では,快適性に影響を与える音響環境に着目し,どのような場所・手段・音(音量・音質)で音を聴いているかという観点に絞り,人が感じる心地良さと音の関係性について取り上げています.「心地良い音を実現するためのオーディオ機器と信号処理技術」と題して,家庭におけるオーディオ機器をリラックスする際に用いる機器の一つとして捉え,音の伝わり具合と心地良さに着目して,簡単に音場の特性を補正する技術と機器について解説しています.また,音楽や映画,スポーツの現場ならではの心地良さ,臨場感の再現という観点から様々な音場の特徴を再現する技術と機器についても紹介しています.

 以上の構成により,本小特集は,人間の生活で最も中心であり馴染みのある“住”に着目し,生活の質につながる快適性を実現するテクノロジーについて分かりやすく解説しているので,今回紹介した分野や技術に興味,あるいは意識を高めて頂く一助になることを期待します.最後に,多忙な中,原稿の執筆を御快諾頂いた執筆者の皆様,本企画について御協力頂いた知的環境とセンサネットワーク研究専門委員会の皆様,本小特集の編集チームの方々,及び,学会事務局の方々に深く感謝致します.

小特集編集チーム

 清水 芳孝  中平 勝也  植松 芳彦  今田 美幸  小泉 健吾  高橋 清隆  豊田 雅宏 


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