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東京工業大学理学院物理学コースの研究グループは,クライオ蛍光顕微鏡を独自開発することで,色素1分子の三次元位置を標準誤差1nmで決定することに世界で初めて成功した.これは将来的に細胞内部の分子イメージングにつながる新しい技術である.
顕微鏡には400年以上の歴史があり,様々な顕微鏡が発明されてきた.しかし,細胞内部を分子レベルで観察できるものはない.生命現象は多種多様な分子が相互作用することで成り立っている複雑系であり,正確な観察ができないことが生命の謎を深めている大きな要因である.例えば,2017年に,ノーベル化学賞を受賞した「クライオ電子顕微鏡」を用いれば,細胞外における平均構造だが,結晶化せずに生体分子複合体の原子モデルを確認できるため分子生物学的には大きな技術革新であった.ただし,電子線の平均自由行程が数百nmと短いために細胞全体を見渡すことができず,また電子線照射のダメージが大きいために1分子観察ができない.一方,蛍光顕微鏡は観測深さとダメージという二つの欠点がない.しかし,その分解能はクライオ電子顕微鏡にはるかに及ばない.これは,2014年にノーベル化学賞を受賞した「超解像蛍光顕微鏡」でも同様である.
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