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パターン認識・メディア理解の機能拡張に向けたOpen Idea
小特集 3.
パターン認識・メディア理解の応用技術に関するOpen Idea
Open Ideas on Application Research in Pattern Recognition and Media Understanding
abstract
パターン認識・メディア理解においては,対象特有のドメイン知識(バイアス)を考え,それに適する方法を考え出すことが重要であり,従来パターン認識の応用対象として考えづらかった高度に複雑かつ現実に即した問題を考えることで,より原理の理解が進み,かつ新しい方向性を見いだすことができる.具体的に本稿では,①個人の内部状態推定と行動変容,②社会規模の問題,③科学における諸問題解決,を今後重要な応用領域として取り上げ,その問題の困難さや社会的重要性について議論する.
キーワード:パターン認識の応用,人の内部状態,行動変容,社会問題,科学とパターン認識
本稿では,パターン認識・メディア理解の応用技術に関するopen ideaを考える.本小特集2の基礎技術に加えて応用技術を議論するのは,パターン認識・メディア理解では,対象特有のドメイン知識(バイアス)を重要視する点にある.すなわち,多くの応用課題では,機械学習等の一般的なパターン認識技術を何も考えずに直接適応するようなシナリオでは解決できないことが多い.このことを逆に考えると,これまでパターン認識の応用対象として考えづらかった課題(すなわち,パターン認識の一般的な問題設定に乗りにくかった課題)については,そのようなドメイン知識がはっきりしていなかったためとも言える.したがって,あえてそのような応用課題に関するopen ideaを積極的に列挙することで,これまでのパターン認識の枠組みを越えるような新たな方向性が見える可能性がある.また,これとは別に,これまでパターン認識・メディア理解の応用対象と見られていなかった課題について,改めてパターン認識技術の応用先と捉え直し,その結果出てきたopen ideaを列挙することも有効と考えられる.
以上の期待の下,我々は①個人の内部状態推定と行動変容(用語),②社会規模の問題,③科学における諸問題解決,をパターン認識・メディア理解技術の今後重要な応用領域として取り上げる.このうち大雑把に言うと,これらのうち,①,②がこれまで応用対象として考えづらかった課題であり,③がこれまで応用対象としてほとんど考えられていなかった課題に相当する.①,②の「人や社会に関する課題群」については,図1に引用したMcKinsey社による産業別ディジタル化インデックスからも分かるように,今後産業的にも発展することが確実でありながら,未着手若しくは着手不十分な課題が多くある.また③については,今までの数理的・物理的モデルに基づく演えき的手法が計測及び計算量的な意味で限界を迎えており,パターン認識による帰納的手法で新たなブレイクスルーを起こせる可能性があることによる.なお,これらの応用が進まなかった背後には,本小特集2で述べた(データ収集などの)基礎的課題が未解決だったこともある.したがって本小特集2と本稿のopen ideaには密接な関係がある.
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