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解説
災害向けの飛行体を用いた一時的な通信エリア確保に向けた取組み
An Activity for Setting Up a Temporary Communication Area at a Disaster by a Flying Vehicle
abstract
災害時において通信設備や回線が損傷を受けた際に,スマートフォンでの通信を迅速に確保することは情報伝達の観点から非常に重要になっている.その方法として,車載基地局や船舶基地局が挙げられるが,災害発生場所に到達できない場合には適用できない.そこで,近年,ドローン,ヘリコプター,気球といった飛行体を用いて通信エリアを確保する取組みが各通信事業者で行われている.本稿では,まず,アプローチの異なる飛行体での通信エリア確保に向けた取組みを紹介する.その後,飛行体単独でLTEによる通信エリア確保が可能という特徴のある飛行体基地局について,その概要と災害時に想定される適用を解説する.その後,屋久島でのドローンによる実証実験の結果や,ヘリコプターへの搭載に向けた取組みについて述べる.
キーワード:災害時通信,飛行体基地局,LTE,ヘリコプター,ドローン
近年,移動体通信やその端末となるスマートフォンは広く普及しており,これらは日常生活の中に広く浸透している.また,地震や洪水といった災害時においても,情報収集や安否確認といった様々な用途でスマートフォンは利用されている.2016年4月に発生した熊本地震では,都市部における移動体通信インフラへの影響は小さく(1),スマートフォンによる情報収集が盛んに行われている様子が報道により紹介されている.
ただ,このような災害では,停電や伝送路断を要因として,基地局としての機能が停止する場合がある.また,2011年3月の東日本大震災のような激甚災害の場合は,基地局設備そのものが倒壊若しくは損傷を被るなど直接影響が及ぶ場合もある(2).このような状況に対応するため,通信事業者は主に次のような形で一時的な通信エリアの回復を図っている(図1).
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