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解説
LPWAの課題と解決する新RF ICとIoTに最適なネットワーク構成
Challenges of LPWA, Designed RF ICs, and Optimum IoT Network Structure
abstract
IoTに最適な無線通信技術としてLPWA(Low Power Wide Area)無線が着目されているが,技術的課題も多い.本稿では,全国規模の広域通信網とIoTエリアネットワークに最適なLPWA通信方式について考察し,それぞれに最適なLPWA通信方式を両立するための2モードLPWA無線RF ICの概要と実装における課題と対策案を報告する.更に,IoTエリアネットワークとして有望なアンライセンスドLPWAとしての特長をその他の方式と比較・検討し,国内電波法への適合性についても考察する.
キーワード:LPWA,アンライセンスドLPWA,IEEE802.15.4k,Sigfox,LoRaWAN
IoT(Internet of Things)を支える無線技術としてLPWA(Low Power Wide Area)無線が注目を集めている.LPWA無線と一くくりに呼ばれるものの多種多様な方式があり,それぞれに特徴を持っている.本章では,LPWA無線技術がIoT用無線技術に提案されている理由を説明する.
図1にIoTシステムの基本構成を示す.点線枠で囲われていない部分は既に市場導入されているネットワーク構成である.一方点線枠では,自治体エリアや企業拠点敷地エリア,共同体管理エリアなど比較的広域な範囲にIoTシステムを適用する場合に提唱されているネットワーク構成である(1).ここでは基幹ネットワークを広域通信網でカバーし,末端を広域通信網に接続するためにゲートウェイを介してIoTエリアネットワークを設置するという親子構造となっている.IoTエリアネットワークに対して,安価でかつ緻密に網羅することがIoT用無線技術の狙いとなる.
LPWA無線は,先の三つのエリアに代表される比較的広域なサービスエリアに対し,容易なネットワーク構造(スター構造の1~数セル)でカバーできる無線通信方式の最有力候補となっている.しかし現時点では親子構造のネットワークに対して様々な通信方式が乱立しており,LPWA無線を活用したサービスの展開を妨げている.この課題に対して各通信方式の特色を比較し,広域通信網と,多くの端末を接続するIoTエリアネットワークに最適な通信方式を提唱する.また,それぞれに最適なLPWA無線方式を両立した2モードLPWA無線RF ICの概要と実装における課題と対策案を報告する.
LPWA無線方式は,使用する無線周波数帯の違いによって,ライセンスドLPWAとアンライセンスドLPWAに分類される.ライセンスドLPWAは,周波数をライセンスされた特定事業者が独占的に使用する.サービスへ適用する場合,特定事業者より付与された周波数帯域を使用するために周波数干渉は生じることがなく,システム的なロバスト性も担保されることになる.ライセンスドLPWAの代表格はLTE Cat. NB1(用語)で,信頼性の高い携帯電話技術を発祥とした無線周波数帯とプロトコルスタックを搭載しているため,全国規模の広域通信網として活用が議論されている.
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