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新潟港は,幕末に外交窓口として定められた開港五港の一つとして1869年に開かれ,2019年1月1日に開港150周年を迎える.開港五港の中で新潟は日本海側で唯一の開港場であり,イギリス,ドイツ,オランダ,アメリカなどの領事館が設置され,また東京,横浜,大阪と並んで全国四行の一行である第四国立銀行が設立された(1).当時はまだ鉄道が普及する以前であり,元々江戸時代から北前船の寄港地として物資の流通や人の往来が多かったこともあり,日本海側の一大貿易拠点として重要な役割を担っていたわけである.このような時代背景もあって,明治時代初期には日本一人口の多い県であったという記録もある.
貿易の隆盛によりおのずと新たな技術の流入も進んでくる.実際に新潟においても農業技術に洋式農法の導入が企てられた.しかしながら,洋式農法の導入は実態に合わなかったため成果が上がらず,各地の土地条件に合致した農業技術の改善策が講じられた.更に,治水工事による環境整備や品種改良などの農業技術の改善により,農業の振興が図られた.その結果,米の収穫量では常に全都道府県の中で上位を占めるなど,新潟県と言えば農業が盛んであるという認識が定着してきている(注1).
そのほかにも,新潟では縮や紬,ニットに代表される繊維業,酒造業,食料品製造業,製紙業,水産業など特色のある産業が発展してきているが,本稿では金属加工などの製造業に言及したい.新潟県における金属の製造の歴史は江戸時代にまで遡り,当時はくぎなどの庶民用金物が制作され,関東地方を中心に販売されていたようである.現在でも,その伝統産業が脈々と引き継がれ,金属製品や様々な機械器具の生産が,特定の地域に集約されて行われているという特徴がある.本稿ではこれらの製造業をものづくり産業と総称する.
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