特集 1-1 移動通信最新動向――情報通信に何が起こっているか――

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Vol.101 No.11 (2018/11) 目次へ

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1. 第5世代移動通信システム「5G」とは

特集1-1

移動通信最新動向

――情報通信に何が起こっているか――

Recent Trend of Mobile Communications: What Is Going on in ICT World?

吉田 進 佐藤孝平 中村武宏

吉田 進 名誉員:フェロー 第5世代モバイル推進フォーラム

佐藤孝平 正員 一般社団法人電波産業会

中村武宏 正員 (株)NTTドコモ先進技術研究所

Susumu YOSHIDA, Fellow, Honorary Member (The Fifth Generation Mobile Communications Promotion Forum, Tokyo, 100-0013 Japan), Kohei SATOH, Member (Association of Radio Industries and Businesses, Tokyo, 100-0013 Japan), and Takehiro NAKAMURA, Member (Research Laboratories, NTT DOCOMO, Inc., Yokosuka-shi, 239-8536 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.101 No.11 pp.1046-1051 2018年11月

©電子情報通信学会2018

abstract

 40年近い歴史を持つセルラ方式移動通信は10年ごとに大きな飛躍を遂げながら誰もが予想できなかった驚異的な発展を遂げてきた.2020年頃の商用化を目指す第5世代移動通信(5G)は,通信業界にとどまらず広範な異業種との連携・融合を目指しており,来るべき社会を先導するインフラを提供し,社会をこれまで以上に大きく変革する可能性を秘めている.本稿では,5Gとは一体どのようなネットワークなのか,その早期実現に向けた今後の課題は何か,最近の世界的な動向を踏まえつつ概説する.

キーワード:第5世代移動通信,5G,IMT-2020,5GMF,WRC-19

1.移動通信の進展

 1979年の自動車電話の商用化以来,高々40年にしかすぎないセルラ方式移動通信の驚異的な発展は世界を大きく変えてきた.固定通信では到底実現不可能であると長く信じられてきた“世界中に暮らすほとんど全ての人々に対する電話サービスの提供”を可能にしたほか,インターネットまで身近に提供することが現実のものとなりつつある.国際電気通信連合(ITU: International Telecommunication Union)によれば,今や携帯電話の加入者数は世界の総人口を超え,モバイルブロードバンド/インターネットのユーザ数もほぼ半数にまで達している.

 歴史を振り返ってみると,移動通信はその商用化開始以来,ほぼ10年ごとに新たな無線通信方式を導入し,世代(generation,略してG)交代を図りながら飛躍的に進展してきた.すなわち,図1に示すとおり音声サービスからデータ通信サービスへの移行,更にデータ通信の高速・大容量化に対するマーケットニーズに応えてきた.1990年初頭に9.6kbit/s程度であったデータ通信速度は,既にほぼ1Gbit/sを達成している.現在は第4世代(4G)の時代であり,既に世界的にも2020年頃の商用化を目指した“第5世代移動通信(5G)”の研究開発が熱を帯びて進められている(1)(3)

 本稿ではその5Gの概要並びに最近の研究開発や商用化に向けた動向などについて紹介する.

図1 移動通信システムの進化


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