小特集 2. 光通信及びモバイル通信システムの進化と将来の光無線融合

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小特集 2.

光通信及びモバイル通信システムの進化と将来の光無線融合

Evolution of Optical and Wireless Communication Systems and Future Integration

鈴木正敏

鈴木正敏 正員:フェロー (株)KDDI総合研究所ネットワークアーキテクチャー部門

Masatoshi SUZUKI, Fellow (Network Architecture Division, KDDI Research, Inc., Fujimino-shi, 356-8502 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.101 No.2 pp.138-145 2018年2月

©電子情報通信学会2018

abstract

 ピーク速度が10Gbit/sを超える第5世代モバイル通信サービス(5G)の実用化が近付いている.今後の急増するモバイル通信トラヒックを光ファイバで効率的に収容するには,超大容量,低遅延などの次世代モバイル通信システムに適した新たな大容量・低コストの光アクセス技術が必要である.本稿では,光通信及びモバイル通信の進展を概観した後,5G及びそれ以降のモバイル通信システムにおける統合的な光無線融合技術の重要性を示す.更に,無線信号の光ファイバ伝送RoF(Radio over Fiber)の大幅な大容量・長距離化を可能とする新しい技術を紹介する.

キーワード:モバイル通信システム,5G,光アクセス,Radio over Fiber(RoF)

1.は じ め に

 光通信及びモバイル通信システムは,インターネットやスマートフォンなどの私たちの生活に欠かせない情報通信を支える重要な社会インフラとなっている.

 光ファイバを用いる固定系のFTTH(Fiber To The Home)は,1Gbit/sサービスが10数年前からスタートし,インターネットの普及を支えてきた.現在,更に大容量の10Gbit/sサービスが始まろうとしている.

 一方,モバイル通信については,私たちのライフスタイルまでも変化させるほどに進展し,今や,携帯電話やスマートフォンは常に手放せないものとなっている.モバイル通信システムは,ほぼ10年周期で世代交代が進み,その都度,約10倍の高速化が図られてきた.最新の4Gシステムにおいては,ピーク速度が1Gbit/s近くまで増大している.現在,2020年の東京オリンピック/パラリンピックに向けて,ピーク速度が10~20Gbit/sへ達する第5世代モバイル通信システム(5G)の研究開発が急ピッチに進められている.5Gでは,モバイル端末での4K/8K動画像視聴や,多数のIoT(Internet of Things)端末の同時接続,コネクティドカー等へ向けた低遅延サービスなどの多様なサービスが想定されている.

 モバイル通信システムは,基地局のアンテナからユーザ端末までは無線で,また,ネットワークセンタから基地局までは光回線で結ばれるため,高品質サービスを提供するには,光と無線技術の融合による統合的なシステム設計が重要である.

 本稿では,光通信及びモバイル通信システムの進展を概観し,続いて5G及びそれ以降のモバイル通信システム用の光アクセス技術や光と無線の融合技術について議論する.更に,無線信号を光ファイバで直接伝送するRoF(Radio over Fiber)技術に関して,大幅な大容量・長距離化を可能とする新しい技術を紹介する.

2.光アクセスシステム及び無線アクセスシステムの動向

 図1に,光アクセス,モバイル無線アクセス並びに基幹ネットワークの回線スピードの推移を示す.特筆すべきは,モバイル無線アクセスの大容量化のスピードが,固定アクセスのそれをはるかに超えている点である.


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