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グラフアルゴリズムの最先端
小特集 8.
CAT(0)空間上のアルゴリズムと最適化について
Algorithm and Optimization on CAT(0)-space
abstract
CAT(0)空間と呼ばれるユークリッド空間や双曲空間を一般化した距離空間がある.CAT(0)とは,「曲率が非正」ということを意味している.この空間は,ユークリッド空間で成り立つ様々な良い性質を引き継いでいる.特に,任意の2点を結ぶ測地線(最短路)が一意に定まる.このことから凸関数なども自然に定義される.最近になって,CAT(0)空間を利用したモデリングやその上でのアルゴリズム・最適化理論が展開され始めている.本稿では,そのような試みの一端を紹介する.
キーワード:CAT(0)空間,測地線問題,系統樹空間,メディアングラフ,オーソスキーム複体
CAT(0)空間と呼ばれる距離空間がある.CATは3人の数学者Cartan, Alexandrov, Toponogovの頭文字であり,0は曲率が0以下を意味している.この空間は,Gromov(1)によって導入され,幾何学的群論という分野において重要な役割を果たしている.最近になって,CAT(0)空間を利用したモデリングやその上でのアルゴリズム・最適化理論が展開され始めている.本稿では,そのような試みの一端を紹介する.
距離空間のパスの長さを
(1)
と定義する.ここでsupは区間分割についてとる.2点,を結ぶ測地線とは,一定のスピードで進むパスであって,,,そして,となるものである.任意の2点に対し測地線が存在する距離空間を測地的距離空間という.
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