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日本では21世紀以来の課題として,国際化やグローバル化に対応する人材育成のために,海外研修や外国人教員による実体験を通した取組みが繰り返されてきた.グローバル化とは言わば第2の黒船による開国とも言えるほどの緊急課題であるにもかかわらず,その取組みは必ずしも功を奏しているとは言えない.文部科学省では2014年にスーパーグローバル大学(SGU)創成支援事業を始め,国際化教育に本腰を入れたかに思われる.
周知のように人材育成には長期の取組みが必要であり,現在多くの国際機関で働く職員や国際会議において存在感を示すような人材が,近隣の周辺国出身者で占められている現状に,まだ先は遠いと言わねばならない.しかしながら地道な取組みを諦めなければ道は必ずあるはずである.本稿は私のITU国際標準化会議の経験を踏まえ,グローバル化に関わる諸点について,考えるところを記すものである.
グローバル化の概念の登場は定かではないが,1980年代後半のインターネットによる世界規模・地球規模のネットワーク接続,情報通信サービスの広がりとともに使用されるようになった.インターネットが発達し,重厚長大から軽薄短小へ産業構造がシフトし,世界経済の発展・科学技術の向上に伴い,今やいつでもどこでも情報が得られる時代へ変化したのである.気が付くと地球規模で人・金・もの・情報が国境を越えて流動し,連動して文化や価値観の衝突,吸収,融合が起こり,新たな文化や価値観が生まれるという時代に我々は生きている.
情報に話を絞ると,その流動はものばかりでなく人の移動も伴うことから,最終的には地球上の様々な環境で人と人との交流が行われる.この交流を円滑に行うためには,意外なほど前時代的な相手国との人間同士の触れ合いや,絶え間ないコミュニケーションが重要なのである.この点が肝要でグローバル化の取組みが変更されてもグローバル化の根幹である.iPS細胞の研究者である山中伸弥氏も時間を見つけては頻繁に渡米されているとのことである.“直接的な情報収集にはそれが欠かせない”と述べていたが,彼はグローバルの真の意味を肌で御存じなのであろう.
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