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1. 働き方改革に対する取組み
特集 1-5
シンガポールにおける労働環境の事例紹介
Introduction of Working Environment in Singapore
このたび,シンガポールでの勤務経験について執筆する機会を頂きました.現在の職場以外で日本国内勤務の経験がないため,比較という書き方はできませんが,せっかく頂いた機会ですので,読者の皆様に少しでも有益な情報をお伝えできればと思っております.執筆にあたり,筆者の主観によるところ,また包括的な説明ができていないところもあるということをあらかじめ御理解・御了承頂きたいと思います.
筆者が慶應義塾大学博士後期課程を修了したのは2009年3月であった.その後,同大学にポスドクとして1年間在籍させて頂いた.その間にケント大学(イギリス)と香港市立大学(香港)へ訪問研究員として短期滞在する機会を得た.国際会議への参加等を通して海外で研究活動を行いたいという筆者の思いは,これらの短期滞在を経てより強いものとなった.そこで,以前から国際会議等を通じて親交のあった多くの研究者が働くシンガポールのインフォコム研究所(I2R: Institute for Infocomm Research)へと就職希望を出した.書類審査と電話面接を経て,無事に採用され,2010年の5月からI2Rの研究員としてのスタートを切ることになった.
筆者が働いていたI2Rは,シンガポールにおける科学技術研究開発を担当する法定機関である科学技術研究庁(A*STAR: Agency for Science, Technology and Research)傘下の研究所の一つである(図1).貿易産業省(Ministry of Trade and Industry)が統括するA*STARには,生物医学研究評議会(BMRC: Biomedical Research Council)と科学工学研究評議会(SERC: Science and Engineering Research Council)という二つの研究評議会がある.BMRC傘下にはバイオテクノロジー関連の研究を行う研究機関が,SERC傘下には科学・工学の研究開発を行う研究機関がそれぞれ10ずつ存在する.
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