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「技術」に関連する知的財産(以下,知財)と言えば,「特許」を想起するのが一般的と思われる.
しかし,近年では,「技術」を「ブランド」化した事例が注目を集めている.ブランドは「商標」で保護されるものと考えている人からすればこの「技術のブランド化」という概念は理解しづらいかもしれない.また,「デザイン」についても,知財の中の「意匠」(物品の美的外観)と同じ意味と考えられることが多いと思われるが,実は,後述するアップル社のように「デザイン」を「特許」で保護する事例も存在する.
このように,特許のみならず,意匠や商標など様々な知財を活用して,製品(あるいはサービス等)を多面的に保護し,活用するという観点は,「知財ミックス」あるいは「知財権ミックス」(以下,原則として両者を合わせて「知財ミックス」)などと言われ,最近,政府の公的文書を含め,様々な文献で用いられるようになっている.
しかしながら,「知財ミックス」という用語に明確な定義があるわけではなく,その言葉の使い方,そして意義についても使用者によって異なるものとなっている.
そこで,本稿では,「知財ミックス」の定義について先行文献・研究を検討して整理した上で,企業の実践事例としてアップル社を取り上げる.次に,経営学における最近のデザイン・ブランド論について概説した上で,「知財ミックス」の意義について再検討を行う.
筆者が調べた限り,この用語を最初に用いたのは「技術力で勝る日本が,なぜ事業で負けるのか」の著者であり,NPO法人産学連携推進機構理事長の妹尾堅一郎氏である.同氏の「知的資産経営と人財育成」(2008年7月14日)というセミナーにおける資料(注1)において,いわゆる創造・保護・活用という「知的創造サイクル」の「保護」段階では「いかなる知財網・群,知財ミックス,知財権ミックスが効果的・効率的か検討」(すべき)という記述がある.
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