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情報通信技術を用いたシステムでは,つながることが大切であり,そのためには標準化が必要不可欠である.ITU(International Telecommunication Union,国際電気通信連合)等の国際標準化機関や各国・地域の標準化機関において標準化が進められている.当初,特許は無償で提供し標準化技術を普及した方がユーザにとってメリットが大きいとの認識であった.しかしながら,多額の研究開発投資を行い標準化に大きく貢献している会社と,標準化会議に参加はしているがほとんど貢献していない会社との不均衡が拡大しており,標準規格に関わる特許について有償にすべきであるとの意見が多くなった.標準規格書に従って製品を製造販売した場合に,必ず使用しなければならない特許をSEP(Standard Essential Patent,標準必須特許)というが,SEPが有償になったことにより特許紛争が多く発生するようになった.
本稿では,無線通信分野,特に移動通信システムにおける特許紛争の事例を用いて標準化と知的財産に関する歴史的な歩みについて述べ,更にIoT時代を見据えた取組みと今後の課題について述べる.
標準規格書に従った製品を製造販売している会社(実施者)は,SEPを所有している者(SEP所有者)からSEPに関するライセンスを受ける必要がある.SEP所有者と実施者間とのライセンス交渉は困難なものが多く,裁判になることも多い.SEPに関する紛争(SEP紛争)を歴史的に俯瞰してみると,Phase1:標準化優先の時代,Phase2: SEP紛争が始まった時代,Phase3:特許無償から有償へ変わった時代,Phase4:既存勢力と新興勢力とが争い始めた時代,Phase5: SEP紛争の異業種への拡大が想定される時代,の五つのPhaseに区分することができる.一方,自動車電話・携帯電話・スマートフォン等の移動通信システムは約10年ごとに世代交替しており,現在は第4世代のサービスが提供され,更に2020年頃のサービス開始を目指して第5世代の標準化や研究開発が進められている.
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