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触力覚通信の歩みと高品質化
小特集 5.
触力覚通信におけるQoS制御
QoS Control in Haptic Communications
abstract
本稿では,触力覚通信におけるネットワーク遅延やその揺らぎ,及びパケット紛失の影響を抑えるためのサービス品質(QoS: Quality of Service)制御技術として,トラヒック制御,誤り制御,メディア同期制御のほかに,触力覚通信に特有の,反力の適応制御について説明する.また,QoS制御の今後の発展方向についても議論する.
キーワード:触力覚通信,ネットワーク遅延,パケット紛失,サービス品質(QoS),QoS制御
近年,触力覚を含む多感覚通信に関する研究が盛んに行われている(1)~(3).触力覚を扱うことによって,遠隔の物体を触り,動かすことなどができるため,物体の形状,表面の滑らかさ,重さなどが感じられる.従来の視覚・聴覚に触力覚を加えることによって,高臨場感通信を実現することが可能であり,遠隔医療,遠隔教育,分散仮想博物館,遠隔操作など様々な分野での応用が期待されている(1).
しかし,インターネットのようなサービス品質(QoS: Quality of Service)(4)が保証されていないネットワークを介して触力覚に関する情報を転送すると,ネットワーク遅延やその揺らぎ,パケット紛失によってQoSが大きく劣化する問題がある.そのため,できるだけQoSを高く維持するQoS制御が必要であり,触力覚通信において多くのQoS制御が検討されてきている(1).
本稿では,触力覚通信における上記の問題を解決するためのQoS制御を紹介する.QoS制御として,特に,触力覚通信に特有の,反力の適応制御について説明する.また,QoS制御の今後の発展方向についても議論する.
以下では,2.で触力覚情報と触力覚通信において解決すべき問題について述べる.3.では触力覚通信におけるQoS制御技術を解説し,4.でQoS制御の今後の発展方向について議論する.
端末間で転送される触力覚情報は,触力覚インタフェース装置のカーソル(カーソルは触力覚インタフェース装置の空間での位置を表す点であり,この点を介して利用者は物体を触ることができる)や物体の位置情報や触力覚インタフェース装置へ提示する反力などに関する情報である.これらの情報に更にタイムスタンプ及びシーケンス番号を加え,メディアユニット(以下MUと略す)(5)として,転送される.
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