1．は　じ　め　に

　ICTの進化やスマホなどのディジタル機器が普及し，SNSやECが生活者に浸透している．また，政府がワークライフバランスや働き方改革を推進することも後押しして，生活者の価値観やライフスタイル，生活習慣が多様化している⁽¹⁾．更に，「ディジタルネイティブ」や「スマホファースト」のミレニアル世代^(注1)やZ世代^(注2)は，新たな価値観の下，新しいライフスタイルや生活習慣を志向している．

　生活者のライフスタイルや生活習慣の多様化に伴い，購買行動も多様化してきている．更に，近年のIoT技術を活用したサービスの中には，購買行動に変容をもたらすものが現れてきている．そこで本稿では，IoT技術を活用して生活者の購買行動に変容をもたらすサービスについて，具体的な事例とともに解説する．なお，本稿におけるIoT技術とは，センサで情報を取得しネットワークを介して蓄積・活用する技術を指す．

2．購買行動に変容をもたらすIoTサービスとは

　図1は，IoT技術を活用して生活者の購買行動に変容をもたらすサービスについて，概念的に示したものである．購買行動に変容をもたらすサービスとは，「生活者に身近に感じられるサービス」と「生活者に喜びや潤いといった豊かさをもたらすサービス」である．