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回路図で理解する複比保存則

Get an RF Engineer’s View to the Quad Complex Cross Ratio

大平 孝

大平 孝 正員:フェロー 豊橋技術科学大学未来ビークルシティリサーチセンター

Takashi OHIRA, Fellow (Research Center for Future Vehicle City, Toyohashi University of Technology, Toyohashi-shi, 441-8580 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.102 No.11 pp.1061-1064 2019年11月

©電子情報通信学会2019

1.美しい数学

 Qファクタ,結合係数に続くシリーズ第3弾「複比とは何か」を考える.複比(ふくひ)は平面幾何学において1本の直線上に並ぶ4点間の距離から定義され,直線の移動に対してロバスト性を呈する(1).この特徴を工学に生かすことはできないだろうか.ここでは高周波を志す学生君たちが学部の授業で習うLCR回路やトランスを使って美しい数学物語に迫る.

2.二つの複素数の差分

 高周波システムの構成要素(デバイス・回路・アンテナなど)は何らかの要因によりイミタンスが変動することがある.変動量を二つの複素数mathmathの差分

math

(1)

として表すこととする.

 これにLCR素子を直列接続した系を図1に示す.左端から見たイミタンスは

math

(2)

となる.ここでmathmathは入射正弦波の角周波数,mathは虚数単位mathである.前提としてmathが変動してもLCR値は変わらないとする.左端から見た変動量は

math

math

(3)

となる.つまり,mathを直列挿入しても二つのイミタンスは平行移動するだけであり,その差分は保存される.


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