編集室

　＊　本号では，「回路とシステムの研究を「社会実装」するまで」について，小特集として取り上げました．もの作りという面では，三次元プリンタやレーザカッターを気軽に使えるコワーキングスペースも根付いてきましたし，データをインターネット越しに送ると向こうで作業をして送り返してくれる会社も増えてきました．また，設計のためのソフトウェアも手軽に試せるようになってきています．こうして，作りたいものを形にすることが容易になり，一昔前とは隔世の感がありますね．

　＊　私自身も，趣味のもの作りという感じで，三次元プリンタで印刷するためのモデルを設計して，実際にプリントして，ということをやっています．こうして自分の手を動かしたものが実際に形を持って現れると，何とも言えない達成感を味わえ，また次の設計にと向かう原動力になっています．また，そうして自分で設計をやり出すと，他の人の上手な設計が他人事ではなく，少しでも近づけないかと思いながら，しげしげと観察を始めてしまいます．専門家と素人の垣根は低くなったとはいえ，専門家の知識をスッと吸収できる場の大事さを切に感じています．

　＊　さて，私はこの6月から編集委員会に加えて頂きました．これまで小特集の記事を執筆させて頂いたことはありますが，編集委員になった経験のないまま編集特別幹事となりました．編集委員としての業務は，周りの皆様に助けて頂きながら，何とか始められた感じです．こうして編集委員として改めて本会を俯瞰してみますと，会員の皆様が関わっておられる分野は広いですね．それぞれの分野の専門家の知見をつなげる場として，会誌がうまく機能できればいいなぁと思っております．

(編集特別幹事　堀山貴史)