特集 1-2 IoTと通信ネットワーク技術

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Vol.102 No.5 (2019/5) 目次へ

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1. IoTの概要

特集1-2

IoTと通信ネットワーク技術

IoT and Its Communication Network Technologies

横谷哲也

横谷哲也 正員:シニア会員 金沢工業大学工学部電気電子工学科

Tetsuya YOKOTANI, Senior Member (College of Engineering, Kanazawa Institute of Technology, Nonoichi-shi, 921-8501 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.102 No.5 pp.383-387 2019年5月

©電子情報通信学会2019

abstract

 IoTでは,多種多様な‘もの’(Thing)をネットワークに接続することが必須不可欠である.これらの接続に対して従来のネットワーク接続に加えて新たなる要求条件を考える必要がある.例えば,性能,信頼性,セキュリティ,運用等について新しい要求条件が必要となる可能性がある.これらの要求条件を抽出するために,IoTの「使われ方」,つまりユースケースの議論が活発に行われている.本稿では,ユースケースの議論の動向を述べ,それらのユースケースを実現するための通信ネットワークの構成及び要求条件を明確にする.次に,必要となる通信ネットワーク技術について,ネットワーク種別とレイヤ別に動向及び今後の課題を述べる.

キーワード:IoT,通信ネットワーク,プラットホーム,広域通信,国際標準化

1.は じ め に

 IoT(Internet of Things)は世界的な関心事として広く議論されている.IoTでは,提供するサービスと技術の検討が並行して行われている.これらの議論を効率的に進めるために,IoT参照モデルが文献(1)により提唱されている.これは,Perception(認識),Transport(伝送),Processing(処理),Application(サービス提供),Business(事業)から成っている.この中で,‘もの’をつなぐという観点でTransport(伝送)が重要な役割を担うことになる.したがって,本稿では,Transport(伝送)を支える通信ネットワーク技術に焦点を当てる.

 通信ネットワーク技術は,IoTサービスシナリオに応じてアダプテーションされる必要がある.そのため,本稿では,最初にサービスシナリオの例として,現在,議論されているユースケースの概要とその分析結果について述べる.次に,それらを実現するためのネットワーク構成及び適用されるべき通信ネットワーク技術について述べる.最後に,通信ネットワークの観点から今後の展望について触れる.

2.IoTユースケースの議論の状況と広域性

 IoTサービスは様々な領域で展開が検討されている.これらはユースケースとして公開され,IoTの普及に貢献していると言ってよい.

 IoTサービスのユースケースの収集及び分析は国際標準化機関を中心に積極的に行われている.例えば,IECでは,文献(2)等のWhite paperとして公開されている.ISO/IEC JTC1ではIoT及び関連技術を議論するSC41を組織し,ユースケースについて,文献(2)を拡張し図1に示すように様々な領域に対応した現状28のケースの文書化を行っている.これらの概要及び分析については文献(3)にまとめている.一方,ITU-Tでも,FG-DPM(Focus Group on Data Processing Management)を2017年3月に組織し,SG20と連携しユースケースをまとめている.現状スマートシティ及びコミュニティ関連を中心に12のユースケースが記載されている.


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