特集 3-5 相模原市IoT推進ラボ(さがみはらIoT研究会)の活動

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Vol.102 No.5 (2019/5) 目次へ

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3. IoTの活用分野と応用例

特集3-5

相模原市IoT推進ラボ(さがみはらIoT研究会)の活動

Introduction of Sagamihara City Lab for IPA IoT Acceleration

加藤聖隆

加藤聖隆 ケイスクエア

Kiyotaka KATO, Nonmember (K-Square Network, Sagamihara-shi, 252-0131 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.102 No.5 pp.443-447 2019年5月

©電子情報通信学会2019

abstract

 神奈川県相模原市では,地域企業の生産性向上を目的として,生産現場の見える化を実現するIoT技術の開発及び導入検証を進めている.導入する分野は,当初の目的であった①中小企業の生産管理の分野だけでなく,②精密農業分野,③Quality of Life(QoL)向上のための生活モニタ分野にまで広がってきている.IoT技術を導入において重要となるのは,導入される顧客側と,IoT技術を提供するIoTツールベンダとの協働作業が重要であることが,導入検証を進めていく中で明らかになってきた.事例を通して,身の丈のIoT技術導入を進めている「Sagamiharaモデル」を紹介する.

キーワード:生産管理,精密農業,QoL向上,身の丈IoT技術,Sagamiharaモデル

1.相模原市IoT推進ラボ発足の背景

 神奈川県相模原市は,市内大手メーカの下請の中小企業を主に「ものづくり」の街として成長を続けてきた.しかしながら,近年の少子高齢化の流れの中,生産現場を担う人材不足が大きな課題となってきた.この生産現場での人材不足を補うために,地域企業の生産性向上を目的とする「さがみはらロボット導入支援センター」を2015年に設立した.生産性向上のためのロボット導入検討を進めていく中,まずは現場の見える化が重要であるという課題が明らかになってきた.この課題の解決のために,IoT技術を用いた「ものづくり現場の見える化」の必要性が高まってきた.

 この必要性に対して,相模原市では2016年に「さがみはらIoT研究会」を発足した.この研究会は,「首都圏南西地域産業活性化フォーラム(略称:南西フォーラム)」(事務局:(株)さがみはら産業創造センター)の分科会として位置付けされる.発足当初の目標としては,中小企業の「ものづくり」や農業,医療,サービス分野に至るまでの「IoT」の利活用方法の研究等を実施することであった.この取組みを主軸とした活動について2017年に独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「地域版IoT推進ラボ」(第2弾)に認定された.

 本稿では,IPAに認定された「相模原市IoT推進ラボ」での実際の取組みに関して紹介し,地域における実際のIoT技術導入におけるキーワードとなる「身の丈」の技術開発及び技術導入に関して紹介する.

2.「さがみはらIoT研究会」の概要

2.1 目的及び活動概要

 ロボットを活用した地域経済の活性化を進める相模原市において,今後,企業の更なる付加価値向上を支援するため,ものづくり分野や農業,医療,サービス分野に至るまで,「IoT」の利活用方法の研究,試作開発等を実施することを目的とする.これにより,生産設備やセンサ等を開発・製造する市内中小製造業の“新ビジネス創出”を図るとともに,若手技術者や学生等の人材育成にも寄与することも併せて目的とする.


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