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2019年度事業計画書
自 2019年4月1日~至 2020年3月31日
〈経緯と理念〉
本会は,1911年(明治44年),当時の逓信省電気試験所に研究会が誕生し,その後,一般からも会員を募集して研究会を学会組織に改め,1917年(大正6年)5月1日に電信電話学会が創立されたことに始まる.それ以来,長きにわたって,我が国の電子情報通信分野における基礎理論から応用開発まで幅広い領域の進展に先導的な立場で多大なる貢献をし,一昨年創立100周年を迎えるに至った.
創立100周年にあたっては,本会がコミュニケーションの夢とそれによって実現される豊かな未来社会に向けて果敢に挑戦し,革新的技術及びイノベーションを継続的に創出する学会として大きく飛躍することを目指し,以下の方向性で活動することを宣言した.
1.広汎な知が交流する場を作り,新たな学術領域をひらく
2.社会課題の解決に貢献し,新たな社会のビジョンを作成する
3.技術倫理の向上に努め,社会に向けて発信する
創立100周年宣言は,本会の100年の実績を自信に,勇気を持って次の100年を目指し,学会のあるべき姿へ変身していくことを宣言したものであり,持続的発展は過去を守るのではなく,むしろ変わる世界感,価値観に向かって常に変革を求める思いが込められている.SDGsやSociety5.0と同様,人文科学,社会科学までも含めた幅広い知と融合を図り,政治や産業発展,学際領域と人材の育成を図ること,人類の福祉と環境の持続の目標から求められる短期的,長期的課題に科学技術を駆使し解決に貢献すること,社会と人類の幸福を科学技術の探求における目標と据え,技術倫理を高め,研究成果と併せてその意義を発信する.
〈活動の基本方針〉
本会は上記の理念に基づく責務を果たすことを念頭に,創立100周年宣言の指針にのっとり,今後の学会のあるべき姿を見通しつつ,本会の価値を向上させるべく,会員サービスの向上,社会貢献度の向上,また国際的な地位向上による国内外会員数の増加を目指し,各組織レベルでの事業に取り組んでいく.あわせて,移行法人としての一般社団法人の義務である公益目的支出計画を着実に継続実行するとともに,「持続可能な学会運営」を掲げて事業を推進する.
〈現状認識と主な施策〉
会員サービス向上,学会運営体制変更,業務・運用が,効率良く柔軟に対応できる,ICT基盤システム構築を目指し,2017年度から創立100周年記念事業の一環として,“グランドデザイン”について議論が開始された.2018年度には学会の運営制度・シンプルな仕組みの設計及び導入,会員サービスの拡充として,具体的には,購読会員の新設,会費制度のシンプル化,マイページの充実,業務の効率化の検討及びそれらをサポートするシステムの開発が進められた.今年度は,会員管理システム,学会の貴重な資産である各種論文等のコンテンツサービス提供システムの運用が開始され,会員サービスとして提供が始まる.このように取り組んできたグランドデザインを学会としての統一ポリシーを確立する基盤として活用し,ソサイエティが独立に先行して進めてきた取組みの成果をベストプラクティスとして統合,全体最適を図り,より質の高い会員サービスの提供を目指す.
論文誌・会誌・技術研究報告・ハンドブック等を電子化し利便性の向上を図っている.本会の学術成果である20万件を超えるコンテンツを機関や団体ユーザに十分活用頂くため,購読会員向けサービスを開始する.英文論文誌のオープンアクセスについては,オープンアクセスオプション(オープンかクローズかは著者が選択)とすることが昨年決定され,オープンの場合は追加料金を課する運用を開始した.引き続きオープンアクセス化の会員数への影響,財務への影響を逐次計測,評価し,収益を上げられるビジネスモデルの明確化,将来の対応方針検討に反映していく.技術研究報告については,完全電子化による財務への影響を評価する.
国内の機関を前提に制度設計されていた論文誌のサイトライセンス契約ができる特殊員を海外の機関にも拡張するため,グランドデザインの中で海外特殊員にも対応できる制度に見直し,今年度から購読会員サービスを開始する.今年度から運用開始するシステム上で,各種刊行物コンテンツを国内と同様にグローバルに提供する.
産業界からは異業種同士の集まる場の提供,将来の技術動向の情報発信,産学官の連携強化,若手研究者の育成等の期待が寄せられている.また,ICTの関連する産業の裾野は広がっており,そこで活躍する研究開発者を学会に取り込めていない.関わって頂いている産業界及び新規のICT分野の方にとって魅力的な企画を推進する.また,本会として専門知識に基づく,関係政府・自治体への政策の提言にも力を入れるため大会等の場を活用し,政府・自治体との対話を更に進める.更に新たな融合領域開拓を,他学会との連携強化を図り進める.
他の学会と同じく会員数の減少傾向が続いており,引き続き会員サービスの向上と魅力ある学会活動の活性化により,幅広い層からの会員増による収入増に努める.更に,研究会事業のように黒字を出している事業を強化し,サービス向上に努めながら,安定した収入を確保する.
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