編集室

　＊　5月連休明けにこの文章を書いていますが，普段，大学で教べんを執る身として，気候も爽やかで，新学期スタート時の喧騒から落ち着きを取り戻しつつあるこの時期は，新年度における取組みをじっくり考えることができる時期です．今年は元号も平成から令和に代わり，新たな気分で連休明けを迎えました．

　＊　さて，小学生や中学生が将来なりたい職業の一つにYouTuberがランクインしたそうです．子供たちにとって，プロスポーツ選手や芸能人など，多くの人の注目を浴び，高収入が期待できる職業に並ぶあこがれの職業となっているようです．一方，親が子供になってほしくない職業としてもYouTuberが上位に来るようで，時代の変化や世代間の価値観の違いを感じます．

　＊　本号ではバーチャルYouTuberに関する記事を掲載しました．実在の人物ではなく，架空のキャラクタをYouTuberとして登場させる動画像ですが，海外でも人気の高い日本のコンテンツであるアニメと，モーションキャプチャや仮想現実などの最新の技術が組み合わさった面白い分野です．シナリオが決まっているアニメと異なり，視聴者のコメントなどを基に次回の動画像に反映させるなどのインタラクティブ性も，新たなメディアそしてビジネスとしての可能性が期待されます．人工知能の技術はまださほど導入されていないようですが，そのうちふんだんに取り込まれていくことでしょう．技術的にも面白い分野ですが，20代，30代の最近の人たちを対象としたアンケートに「人だとリアリティがあって疲れるが，バーチャルだと現実を離れられる」という回答がありました．こんなところにも若い人たちの気質や価値観を垣間見ることができました．

（編集特別幹事　石黒仁揮）